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2019.6.25 坪田 実第1章 塗料用樹脂の話(1) 塗料用樹脂が塗膜形成の主役を演じる。樹脂の特徴や性能を理解するために必要な見方を解説する。

(2) 塗料用樹脂がどのように変遷して来たのかを、東京タワーからスカイツリーに至る大型建造物について解説する。らスカイツリ に至る大型建造物について解説する。

(3) 塗膜性能からクッキータイプ樹脂が選択される。分子量が異なる3種のエポキシ樹脂を取り上げ、エポキシ当量を理解することと、橋かけ構造と塗膜のTgに対する見方を解説する。

(4) 塗料用樹脂として使用量が も多いアクリル樹脂について、樹脂のモノマー組成と樹脂特性、官能基濃度、当量配合する硬化剤樹脂のモノマ 組成と樹脂特性、官能基濃度、当量配合する硬化剤重量の計算法を解説する。

境 塗 あ 性 粉体 げ ど(5) 環境対応型塗料である水性と粉体を取り上げ、どのような樹脂が使用されているかを解説する。

〔目次〕

1. 樹脂から塗料を見る( )塗料 原料 ( ) 中 上塗り塗料と樹脂 ( )塗料 必 条件と樹脂 役割(1)塗料の原料 (2)下、中、上塗り塗料と樹脂 (3)塗料の必要条件と樹脂の役割

2.樹脂の分類(1)樹脂の形態 (2)樹脂の特徴 (3)液体(塗料)から固体(塗膜) の変化(1)樹脂の形態 (2)樹脂の特徴 (3)液体(塗料)から固体(塗膜)への変化

3.塗料用樹脂の変遷ピッチ タ ル 油 重合油などの天然原料から合成樹脂への発展経過と 東京タワ スピッチ、タール、油、重合油などの天然原料から合成樹脂への発展経過と、東京タワー、スカイツリーに至った塗装系と樹脂の変遷

4 樹脂が違うと何が異なるのか4.樹脂が違うと何が異なるのか東京タワーとスカイツリーに使用されている下塗り(プライマー)、上塗り塗料で比較する

5 分子量が異なる3種のエポキシ樹脂を取り上げ エポキシ当量と橋かけ密度の関係5.分子量が異なる3種のエポキシ樹脂を取り上げ、エホ キシ当量と橋かけ密度の関係

6.アクリル樹脂入門-樹脂設計入門欲しい塗膜性能を獲得したい。そのためのStep1欲しい塗膜性能を獲得したい。そのためのStep1

6.1 水性塗料に使用されている樹脂の特性

7.粉体塗料に使用されている樹脂と粉体塗装の特徴

1.1 塗料とはどんな材料か(1) 塗料の原料 組成 製造(1) 塗料の原料・組成・製造

(1)被膜になる成分-樹脂・ビヒクル・バインダー(2)着色剤-顔料・染料(3)膜厚を付与する成分-体質顔料(4)可塑剤、分散剤、紫外線吸収剤などのように

塗料や塗膜を使いやすくする成分-添加剤(5)樹脂の溶解や希釈に用いる成分-シンナー

ラックカイガラ虫の分泌物

不純物除去、精製

アルコール系溶剤で溶解

カシュー樹の実の殻に含まれるカシューナットオイルを加工し作る

カシューナット

Linseed-OilLinseed-Oili seed Oili seed Oil

Telepin-OilTelepin-Oilpp

Calunaba WaxCalunaba WaxCalunaba-WaxCalunaba-Wax

Bees WaxBees WaxBees-WaxBees-Wax

Telupen-ResinTelupen-ResinTelupen-ResinTelupen-Resin

Egoma-OilEgoma-OilEgoma-OilEgoma-Oil

例:アルキド樹脂の場合

仕込み(1) 塗料の原料と製造

仕込み

分散

主成分(樹脂)

分散

ミルベース:高・主成分(樹脂)

・副成分(添加剤)

・溶剤ミルベース(エナメルのベース) 調色

顔料濃度

エナメル-ビヒクル追加・混合・調色

調色

原色ミルベークリヤ:ビヒクル混合 原色ミルベースの混合とビヒクルの追加

顔料濃度を顔料濃度を低める

顔料分散-3本ロール

顔料分散-ボールミル

顔料分散 ビーズミル顔料分散-ビーズミル

1.2 塗料中の樹脂の割合 ビヒクルソリッド、バインダー

樹脂分 着色P 体質P 防錆P

100シーラー

パテ 30 70パテ

プライマ

30 70

10113049

タルク

プライマー

サ フェ サ

10113049

33 8 59サーフェーサー 33 8 59

上塗り 54< 46>

被膜形成は樹脂が主役だが、顔料や溶剤、添加剤成分の複合効果が大切。

1.3 塗料の必要条件と樹脂の役割

(1)塗れること(流動すること)

(2)いつまでもドロドロしないで固まること(2)いつまでもドロドロしないで固まること

固体:塗膜になること

樹脂に必要な性能とは樹脂に必要な性能とは

塗れて、被塗物に付着して、固まること。

2. 塗料用樹脂の分類

2.1 樹脂の形態-溶剤、ハイソリッド、無溶剤、水性、粉体

2.2 樹脂の特徴-アルキド(ポリエステル)、アクリル、ウレタ樹 特徴ン、エポキシ、シリコーン、ふっ素樹脂など。

(1) 原子間の電気陰性度の差-電荷の偏り(1) 原子間の電気陰性度の差 電荷の偏り(2) 樹脂を構成する分子の化学結合に注目

2.3 塗膜になったら- チョコとクッキー

2.1 塗料中の樹脂の形態による分類

(d) エマルションⅠ

O/W 型

水性塗料

(e) エマルションⅡ

(油)( )

(f) NAD (非水分散)O/O 型

水性塗料

弱溶剤塗料弱溶剤塗料

2.2 樹脂の特徴-アルキド(ポリエステル)、アクリ

ウレタ ポキシ シリ ふ 素樹脂なル、ウレタン、エポキシ、シリコーン、ふっ素樹脂など。

樹脂を構成する分子の化学結合に注目

○付着性が良いのは

樹脂を構成する分子の化学結合に注目

○付着性が良いのは

○耐候性が良いのは

樹脂の名前は何となく出てくると思いま○耐候性が良いのは

○耐酸、アルカリ性が良いのは

く く 思 ますが、なぜ、どうして選択されるかを考○耐酸、アルカリ性が良いのは

○耐水性が良いのは

選択 考えてみよう。

○耐水性が良いのは

○付着性が良いのは金属に対しては 極性基 OH COOH有効金属に対しては、極性基-OH、-COOH有効

エポキシ樹脂、硝化綿、ポリエステル樹脂

○耐候性が良いのは原子間の結合エネルギ原子間の結合エネルギー

ふっ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂

○耐アルカリ性、耐酸性が良いのは原子間の電荷の偏りが小さいもの ベンゼン環原子間の電荷の偏りが小さいもの-ベンゼン環

ポリエチレン、ふっ素、フェノール、エポキシなど

○耐水性が良いのはガラス転移点の高い樹脂ガラス転移点の高い樹脂

電気陰性度:電子をひっぱる強さSi:1 8 O:3 5 C:2 5

1 2 3 4      5      6     7     8     9     10    11    12   13   14    15    16   17   18

Si:1.8、O:3.5、C:2.5

‐ Si ‐ O ‐ Si ‐

大‐ C ‐ O ‐ C ‐

電荷の偏り どっちの結合が大きいか‐ C ‐ O ‐ C ‐ 合 大

Si-O > C-O

小小

電気陰性度 Si:1.8、C:2.5、Cl:3.0、O:3.5、F:4.0

耐候性は電荷の偏りではなく 原子間の結合エネルギー耐候性は電荷の偏りではなく、原子間の結合エネルギー

C-F > C-Cl1 5 > 0 5

C-F > Si-0> C-C > C-Cl486 > 444 > 353 > 3271.5 > 0.5 486 > 444 > 353 > 327

(kJ/mol)

ふっ素樹脂はなぜ耐候性が良いのか C-Fとして見ると、電子はFに偏るが4Fになると、電荷の偏りはなくなる

塗料用ふっ素樹脂 3F

3F 4F偏りはなくなる。

塗料用ふっ素樹脂 3F

● 炭素、ケイ素の違いについて Q1.C-O-C(エーテル)結合はアルカリ性に対して強いが、Si-O-Si(シロキサン)結合はアルカリに弱い 周期律

電気陰性度

【C】 2 5

キサン)結合はアルカリに弱い。周期律で見ると同じ14族元素であるが、なぜこのように違うのか?アルカリ‐OHイオン

に攻撃されるから【C】 2.5

【O】 3.5

【Si】 1.8

A1.耐薬品性は結合の違いによる電荷の偏りをまず、考えること。結合原子の電気陰性度 差が大き と 電荷 偏り

に攻撃されるから、アルカリ性溶液をガラス瓶に入れない

電気陰性度の差が大きいと、電荷の偏りが大きい。

アルカリ(-OHイオン)によるSi-O結合とC O結合への攻撃を考えた場合

‐ Si ‐ O ‐ Si ‐

エーテル結合 シロキサン結合

電気陰性度の差はSi-O の方が大きいから 電子はO に偏る その結果

合とC-O結合への攻撃を考えた場合、Si-O結合であれば、強く+に分極した【Si】を攻撃し、加水分解させる。一方 C O結合では 分極が弱いため 攻から、電子はO に偏る。その結果、

アルカリのOHイオンは+に分極した【Si】を攻撃する。

方、C-O結合では、分極が弱いため、攻撃されずに安定である。

OH-

δ+ δ δ+

OH-

主鎖の分解H+ Na+ Na-O-Si-R2

R1-Si-O-Si-R2

δ+ δ‐ δ+R1-Si-OH HO-Si-R2

ふっ素樹脂の価格はなぜ高いのか、塗料用ふっ素樹脂とフライパン加工の樹脂は同じものか、異なるものか?

塗料用ふっ素樹脂 3F

ふっ素樹脂の合成に使用するモノマーとしては3Fのクロルトリフルオロふっ素樹脂の合成に使用するモノマ としては3Fのクロルトリフルオロエチレンがメインに使用される。3Fモノマーは気体であり、これを7-10気圧に加圧して液化し、このモノマーと交互にビニルエーテルやビニルエステルとラジカル共重合させる -OHの導入はヒドロキシブチルビニルステルとラジカル共重合させる。-OHの導入はヒドロキシブチルビニルエーテルとの共重合によって行う。気体原料を使用することで高コスト。

ふっ素樹脂‐ルミフロン®の分子構造‐FEVE(フルオロエチレンビニルエーテル)交互コポリマー‐( )

共重合モノマーとして3Fのクロロトリフルオロエチレン(CTFE)をメインに使用

CTFEと交互共重合

性の良いビニル性の良いビニルエーテルモノマーを使用

‐OHの導入はヒドロキシブチルビニルエーテルとの共重合

クロルトリフルオロエチレンを7-10気圧に加圧して液化し、ビニルエーテルとラジカル共重合させる

樹脂を構成する原子間の結合エネルギーの比較

結合結合エネルギー

分解波長 (nm)結合(kJ/mol)

分解波長 (nm)

C Cl 327 366C-Cl 327 366

C C 353 339C-C 353 339

Si O 444 270Si-O 444 270

C F 486 248C-F 486 248

地表に届くUV 310 ~ 400nm地表に届くUV 310 ~ 400nm●結合エネルギーの僅かな差が紫外線劣化の程度を左右する

2 3 塗膜になったら、チョコとクッキー2.3 塗膜になったら、チョコとクッキ樹脂が塗膜形成の主役を演じるから、樹脂の特徴が塗膜に反映される。

樹脂の種類は沢山あるが、塗膜になったら樹脂は2種類のみ

加熱 シンナー

●チ タイプ樹脂 熱可塑性 とける●チョコタイフ 樹脂-熱可塑性 とける

●クッキータイプ樹脂-熱硬化性 とけない

チョコタイプ樹脂の塗膜形成

ラッカー、ホットメルト用

塗料の乾燥過程で樹脂の分子量が変化しない

塗料 塗膜

(液体) (固体)

塗膜:シンナーに溶ける、加熱すると流れる

クッキータイプ樹脂の塗膜形成樹 膜形成メラミン、2液形ポリウレタン、不飽和ポリ、UV

塗料→塗膜形成過程で化学反応(橋かけ)が生じ 樹脂の分応(橋かけ)が生じ、樹脂の分子量が増大する 主剤

硬化剤

2液形塗料の塗膜形成

塗料 塗膜:シンナーに溶けない

ジャングルジムの形成が硬化反応

橋かけ密度:ジャングルジムの目の粗さ

目の粗さが小さくなると

(1) 耐熱性の上昇(1) 耐熱性の上昇

(2) 硬く脆くなる

(3) 耐水、溶剤性の向上

樹脂 塗膜の主成分樹脂-塗膜の主成分

空気中の酸素・水分、樹空気中の酸素 水分、樹脂(硬化剤)、触媒など

樹脂:チョコとクッキータイプの両方あり

樹脂が粒子として分散樹脂が粒子として分散

粒子の接近

一体化

粒子の融着

連続被膜が形成される 低温度: 低造膜温度(MFT)

3. 塗料用樹脂の変遷-その1方舟伝説方舟伝説 BC 3,000(約5,000年前)

学問は 遊びの世界 ロマンも必要学問は、遊びの世界、ロマンも必要旧約聖書に出て来るノアの方舟(はこぶね)を調べて行くと、結構楽しい。1)木造船であること、2)耐水性を付与するのに木材から抽る と、2)耐水性を付与するのに木材から抽出したタールで塗り固めたこと、3)方舟は3階建てで その大きさはおよそ「長133 5m階建てで、その大きさはおよそ「長133.5m、幅22.2m、高13.3m」であり、この比率、すなわち「長:幅:高 30:5:3 は 現在すなわち「長:幅:高=30:5:3」は、現在のタンカーなどの大型船とほぼ同じだそうだ。

3. 塗料用樹脂の変遷-その2黒船来航時のボイル油時代

江戸時代 鎖国時代下では 塗装と言えば柿渋と漆江戸時代-鎖国時代下では、塗装と言えば柿渋と漆が塗料であった.渋職人、塗師屋が塗装職人.ペリ の持ち込んだボイル油の技術は 当時ではペリーの持ち込んだボイル油の技術は、当時では目を見張るものであり、黒船から塗料をもらったり 手ほどきを受けて 日本にも油性ペイントがり、手ほどきを受けて、日本にも油性ペイントが誕生.日本ペイントの前身である光明社が明治14年(1881)に創立 本邦初の塗料会社 酸化鉛か年(1881)に創立.本邦初の塗料会社.酸化鉛から亜鉛華ZnOに.

鹿鳴館に代表される洋館時代に入り 油性調合鹿鳴館に代表される洋館時代に入り、油性調合ペイントが一気に近代塗料となる.

油脂:脂肪酸のグリセリンエステル

乾く油と乾かない油の違いとはステル

グリセリン 脂肪酸

HOOC‐H35C17+

ステアリン酸

脂肪酸

C18 オレイン酸

脂肪酸 2重結合‐C = C‐不飽和基

リノール酸

不飽和基

結合する相手がい

2重結合の数はヨウ素価で

リノレイン酸

相手がいない表示

2重結合

酸化重合の原理‐C = C‐

C- と -O の手

酸化重合の原理

結合する相手がいない

C と O の手が結合する

2重結合が多いほど、乾きやすい

空気中の酸素も相手がいない空気中の酸素も相手がいない

O = O  →  O – O

油の分子量(約880)が増大して、被膜 固体になる

不飽和基

被膜-固体になる

油性調合ペイントで復元(株)アポロ工芸社(株)アポロ工芸社

三菱の3代目総帥三菱の3代目総帥岩崎久弥が明治29年に建造

現在、都立庭園・重要文化財

空気側塗膜表面

ベ ジ第4区間

ベージュ

グリーン

第2区間クリーム

第1区間クリーム

木材素地側塗膜塗装系1回分 60μm塗装系1回分 60μm

岩崎邸の塗膜分析の文献

坪田実、高橋保、長沼桂、上原孝夫:塗装工学, Vol.36, No.6, p.221 (2001)中道敏彦、坪田実:“トコトンやさしい塗料の本”、日刊工業新聞社 、p.91(2008)

中、上塗り用油性調合ペイント中、上塗り用油性調合ペイント

白顔料

顔料 Pigment68

有色顔料

体質顔料

ビヒクルソリッド(樹脂) 樹脂 Vehicle solid添加剤

溶剤

樹脂 Vehicle solid31

固形分 NV (%) 99.0 油性調合ペイントは超ハイソリ ド

顔料重量濃度 PWC (%)( / )

は超ハイソリッド

PWC=100×(68/99)= 69

建築外装用塗料の塗膜成分の変遷

白顔料 ビヒクル油性調合ペイント

ボイル油

洋式ペイント‐輸入

日本製ボイル油

日本製油性調合ペイント

19401950

油変性アルキド

合成樹脂調合ペイント

長油性アルキド樹脂ク 長油性アルキド樹脂フタル酸樹脂エナメル

アクリル

1990年以降、油変性アルキド樹脂の使用量減少。ウレタン、エポキシ樹脂系塗料が増加

1990

坪田実、高橋保、長沼桂、上原孝夫:塗装工学, Vol.36, No.6, p.221 (2001)

ウレタン、エポキシ樹脂系塗料が増加

塗膜形成について

(1)アルキド樹脂を タ 酸樹脂をフタル酸樹脂塗料と呼ぶのは 原料にフのは、原料にフタル酸を使用するから。。

(2)アルキド樹脂の橋かけ反脂の橋かけ反応は、油の酸化重合 乾性化重合。乾性油の2重結合と酸素の化学反応である。

建築外装塗料用樹脂の変遷-その3

(1)合成樹脂 全盛時代 1950年代

合成樹脂の時代

(1)合成樹脂の全盛時代-1950年代東京タワー(1958)-合成樹脂調合ペイント

フタル酸樹脂 あるいは長油性アルキド樹脂系フタル酸樹脂、あるいは長油性アルキド樹脂系

(2)ポリマ 技術の高度化 1970 80年代(2)ポリマー技術の高度化-1970~80年代瀬戸大橋(1988)- 重防食仕様の確立ジ ポキ ポ 樹脂ジンクリッチペイント-エポキシ-ポリウレタン樹脂系

(3)高機能化と環境負荷低減 1990以降(3)高機能化と環境負荷低減-1990以降明石大橋(1998)、スカイツリー(2011)

ジンクリッチペイント エポキシ ふ 素樹脂系ジンクリッチペイント-エポキシ-ふっ素樹脂系

50年前 現在 未来50年前 現在 未来

1960‐70                      2010‐20                  2100一般的な合成樹脂塗料

アミノアルキッド樹脂TXフリー高性能 脂

環境対応型塗料環境向上・自然エネルギー利用型塗料

無機‐有機ハイブリッドアミノアルキッド樹脂ポリエステル樹脂エポキシ樹脂2液型 ポリウレタン樹脂

高性能樹脂ハイソリッド樹脂

無機 有機ハイフ リット‐樹脂と顔料とのハイブリッド化‐植栽型樹脂大気浄化樹脂液型 ポリウ タン樹脂

開発途上製品水性塗料

工業塗装ライン水性塗料UV塗料

大気浄化樹脂CO2吸収樹脂

使用量増UV塗料粉体塗料

UV塗料粉体塗料 (1)大気活性化

エネルギーの開発(2)照明・暖房

使用 増

(2)照明 暖房兼用塗料

(3)IoT/AI技術性能向上

塗料用樹脂から見た塗料の変遷

1950~2000年の50年間でほとんどの樹脂が開発された樹脂が開発された

“トコトンやさしい塗料”の本から引用

0時から7時まで2008 50th2018 60th

東京タ 今年 創立61周年(1958年 S 33末)東京タワー 今年で創立61周年(1958年 S.33末)

5年に1回、塗替え 約800μm以上

塗装面積:東京ドームの約2倍 400g/m2

約32t のPaintsが必要約32t のPaintsが必要

1958(S33)年の年末に完成白

インターナショナルオレンジ

インターナショナルオレンジ

合計膜厚 90μmZnメッキ鋼 65μm

オレンシ10R5/14

Znメッキ鋼 65μm

塗替え時の目標膜厚は65μmで、さび発生部は約90μmになる.塗膜断面の観察からは約90μ になる 塗膜断面の観察から1回当たり、約100μmの膜厚増加.H14

H14

はく離事例

素地:亜鉛メッキ

素地:Steel素地:Steel

プライマーが悪いとこのようにはがれてしまううにはがれてしまう

新築時はジンククロメート

同じ

新築時と同じ

塗膜除去後の鋼材表面(Znメッキ鋼)

塗替え周期を 年に設定している塗替え周期を5年に設定している

大澤悟:建材試験センター 建材試験情報 5月号 (2014)

(全長 3 911m 中央支間長 1 991m

明石海峡大橋 1998年、 東京タワーの40年後

(全長 3,911m, 中央支間長 1,991m, 主塔の高さ 298.3m )

施工期間施工期間

瀬戸大橋:1978.10.10 – 1988.4.10明石海峡大橋:1986-1998明石海峡大橋:1986 1998阪神淡路大震災(1995)異常なし

瀬戸大橋で塗装系は大きく変化 C-5塗装系の確立C 5塗装系の確立

スカイツリーの塗装系に貢献

明石海峡大橋 総工費 約5,000億円塗料費用 約56億円 総工費の約1.1%

塗装面積 1,055×103m2

105.5万m2

塗料使用量塗料使用量 1,875 t計算塗料単価 ¥3,000/kg

明石海峡大橋の塗装系 C-5仕様準拠

250μmμ

重防食塗装系 鋼道路橋C-5塗装系の仕様塗料名 使用量(g/m2) 目標膜厚(μm) 塗装間隔

素地調整4時間以内

塗装工程

ブラスト処理 ISO Sa2 1/2

プライマ 無機ジンクリ チプライマ 160 (15)製鋼工場

ブラスト処理 ISO Sa2 1/26ヶ月以内

4時間以内2次素地調整

プライマー 無機ジンクリッチプライマー 160 (15)製鋼 場

2日~10日600

1日~10日160 -

橋梁製作工場

防食下地

ミストコート

無機ジンクリッチペイント

エポキシ樹脂塗料下塗

75

1日~10日エポキシ樹脂塗料下塗

ふっ素樹脂塗料用中塗

下塗1日 10日

120

170 30

540

中塗

工場

日本道路協会:“鋼道路橋塗装・防食便覧”、p.Ⅱ-32、丸善(2005)より

1日~10日140 25ふっ素樹脂塗料上塗上塗

日本道路協会 鋼道路橋塗装 防食便覧 、p.Ⅱ 32、丸善(2005)より

ジンクリッチペイントは亜鉛の犠牲防食作用による強力な

2液型エポキシ、ポリウレタン樹脂塗料が適用可

ジンクリッチペイントは亜鉛の犠牲防食作用による強力な防錆効果を有する防食下地として広く使用されている。

●塗装系の変遷 –東京タワー → スカイツリー

長期耐久性を実現する

塗装系とはを実現するために、

塗装系とは、下塗り、中塗り、上塗り塗

どんな塗装系が選ばれ

料の組合せ

系が選ばれたか?

学2010.8月 スカイツリー見学!

2011.8.10 完成

東京タワーより53年後では塗装系も年後では塗装系も

大きく変わった

スカイツリーの塗装仕様 (一般部) 4)

(1) ミストコートがないこと、(2) ふっ素樹脂上塗りが厚いこと、(3) 6→4工程に減少(1) ミストコ トがないこと、(2) ふっ素樹脂上塗りが厚いこと、(3) 6→4工程に減少

文献4)慶伊、堀、奥田:防錆管理,Vol.54, No.2, p.49-57

4.塗料用樹脂が違うと何が異なるのか東京タワーとスカイツリーで使用された塗料の比較から

4.1 化学構造から見た違い下 中塗り:エステル結合とエーテル結合下、中塗り:エステル結合とエ テル結合

‐ C ‐ O ‐ C ‐

上塗り:エステル結合とウレタン結合

4 2 塗膜強度から見た違い4.2 塗膜強度から見た違い

長油性アルキド樹脂<2液型エポキシ樹脂長油性アルキド樹脂<2液型エポキシ樹脂

プライマー単層塗膜の比較4.1 化学構造から見た違い

浸漬時間 24H 2 Month

耐アルカリ性 - 樹脂によって、大きく異なる

浸漬時間 24H 2 Month

5% NaOH aq. 浸漬OH-

耐アルカリ性良好

エポキシ

アルカリに溶解

エステル結合

δ+ δ‐

OH

耐アルカリ性良好アルカリに溶解

エーテル結合

R1 R2

浸せき部加水分解

フタル酸樹脂( 油性 キド樹脂)

2液型エポキシ樹脂(ポ ド 化)

R1 OHOH   ONa

(長油性アルキド樹脂)白エナメル

(ポリアミド硬化)白エナメルR2 ‐OH

海浜暴露-単層塗膜で比較フタル酸樹脂 エポキシ樹脂フタル酸樹脂 エポキシ樹脂

東京タワー スカイツリー

さび止め効果に及ぼす

般部 塗膜カ 部とも 般部 塗膜カ 部とも般部 塗膜カ 部とも 般部 塗膜カ 部とも

さび止め効果に及ぼす樹脂の影響

一般部、塗膜カット部ともさび発生大

一般部、塗膜カット部ともさび発生、塗膜欠陥なし

一般部、塗膜カット部ともさび発生大

一般部、塗膜カット部ともさび発生、塗膜欠陥なし

付着性の良否-エステル結合、エーテル結合では説明できない。

厚膜の方がさび止め効果大エポキシの方が効果大 厚膜の方がさび止め効果大エポキシの方が効果大

フタル酸樹脂さび止めフタル酸樹脂さび止め

東京タワー

エポキシ樹脂さび止めエポキシ樹脂さび止め

スカイツリースカイツリ

耐光性試験

QUV 1000H

試験前試験前 試験後

試験後試験前

ポリウレタン樹脂

試験後

エポキシ樹脂は光に弱い

ポリウレタン樹脂

ふっ素樹脂塗料はさらに良好

樹脂によって、大きく異なる

ベンゼン環を多く含む塗膜は紫外線で劣化しやすい。

チョーキング発生ベンゼン環を多く含む塗膜は紫外線で劣化しやすい。

漆も

上塗り塗膜の光沢保持率に及ぼす促進暴露試験時間の影響試験時間の影響

スカイツリー

2液型ふっ素2液型ふっ素

塩化ゴム 2液型ウレタン塩化ゴム 2液型ウレタン

フタル酸樹脂フタル酸樹脂

東京タワー

この差異が、塗替え周期に関係する

樹脂を構成する原子間の結合エネルギーの比較

結合結合エネルギー( ) 分解波長 (nm)結合 (kcal/mol) 分解波長 (nm)

C C 84 3 353 339C-C 84.3 353 339

Si O 106 444 270Si-O 106 444 270

C F 115 486 248C-F 115 486 248 (kJ/mol)

地表に届くUV 310 – 400nm●結合エネルギーの僅かな差が紫外線劣化の程度を左右する

第Ⅰ部 おわり第Ⅱ部第Ⅱ部へ

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