BIOVIA MATERIALS STUDIO 2019 の新機能€¦ · bfgs法( lbfgs...

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BIOVIA MATERIALS STUDIO 2019 の新機能 データシート BIOVIA Materials Studio 2019は、 BIOVIAが材料科学や化学分野の研究者向けに提供する予測科学ツールの最新 リリースです。 Materials Studioを活用することで、材料の原子・分子構造とそれらの特性の間の関係を容易に理解 できるようになり、材料の研究開発において、より情報に基づいた意思決定を行えます。 Materials Studio 2019は、新しい触媒や新たな電池材料などの設計において、従来にないほど多くの材料と特性をシミュレーション可能 です。

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BIOVIA MATERIALS STUDIO 2019 の新機能データシート

BIOVIA Materials Studio 2019は、BIOVIAが材料科学や化学分野の研究者向けに提供する予測科学ツールの最新リリースです。Materials Studioを活用することで、材料の原子・分子構造とそれらの特性の間の関係を容易に理解できるようになり、材料の研究開発において、より情報に基づいた意思決定を行えます。Materials Studio 2019では、新しい触媒や新たな電池材料などの設計において、従来にないほど多くの材料と特性をシミュレーション可能です。

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新機能の追加 - 反応速度論新しいモジュール、Kinetixが利用可能になりました。Kinetixは、触媒表面などの反応表面における反応物と生成物の空間分布予測を、Kinetic Monte Carlo 法を用いて時間の関数として提供します。Materials Studioの広範な科学エンジニアリング・ツールのひとつであるMaterials Studio Canteraに、反応機構の個々の反応に対する感度や昇温脱離を調べるためのタスクが追加されました。

数千原子を対象とした密度汎関数理論Materials StudioのONETEPモジュールの機能が大幅に改善され、電子およびスピン輸送特性の計算、時間依存密度汎関数理論に基づく電子励起エネルギーの計算、金属系のスピン状態の最適化のほか、構造最適化、遷移状態探索、分子動力学計算において溶媒和モデルが利用可能になりました。

新しいSLATER-KOSTERライブラリおよび力場ライブラリの追加リチウムイオン電池の電解液のシミュレーションに適用可能な新しいSlater-KosterライブラリであるLIB 2 0 1 9がD F T B +に追加されました。このライブラリには、Li、C、H、O、N、F、Pの各元素のパラメータが含まれており、電解液組成を変えた時のリチウムイオンの拡散の変化をシミュレーションできるようになります。また、新しい GULPの力場ライブラリであるMEAMとReaxFF RDXが利用可能となり、電池および高エネルギー材料のシミュレーションに適用できます。

計算速度の向上ONETEPおよびCASTEP計算においてOpenMP/MPIハイブリッド並列計算が可能になり、クラスタ計算機上での計算速度が向上しました。またONETEPおよびCASTEPでデフォルト設定も調整され、計算精度を損なわずに計算速度が上がっています。高度並行処理を行うコンピュータ群や大規模システムでの非局在化内部座標を用いたDMol3の構造最適化の計算速度が大幅に向上し、中間ファイルがディスクに書き出されなくなりました。CASTEPの構造最適化において、前処理付きの低メモリ BFGS法( LBFGS )が実装されました。LBFGSを用いると、最適化ステップの数を大幅に削減できます。特に自由度数の大きな系においては顕著な削減が可能です。

より発展的な物性値予測CASTEPにおけるスピン軌道相互作用を考慮した計算で Mulliken電荷分布解析を行えるようになりました。また、化学シフト計算においてDFT+U法の使用が可能になり、強相関系(遷移金属酸化物やf軌道を含む系など)の化学シフトの予測が可能になりました。

MATERIALS STUDIO 2019のハイライト反応速度論モジュールCanteraの機能拡張新機能 - Cantera CSTR タスクに感度解析が追加されました。この機能は、重要度の低い反応を対象から外すことにより、反応連鎖において重要度の高い反応を特定できるため、複雑な多段階反応機構のシミュレーションにかかる時間の削減につながります。このことは同時に、熱力学特性や活性化エネルギーをより高精度に計算すべき反応を特定できることにつながります。さらに、昇温脱離をシミュレーションする新しいタスクが Cantera に導入されました。新スクリプト - サードパーティ製のソフトウェアで利用できる反応機構のデータファイルをMaterials StudioにインポートしてCanteraで使うためのスクリプトが開発されました。

量子力学計算モジュールのハイライト新機能 - DFT+U法の使用が推奨される強相関系(遷移金属酸化物やf軌道を含む系など)について、CASTEPで化学シフトの計算が可能になりました。新機能 - Ambrosettiらによる多体分散力の補正法( MBD )がCASTEPに実装され、分子間力が重要な系に対して他の既存の方法より高い精度で計算を行えます。MBDは格子定数まで含んだ構造最適化と特性計算で使用することができます。新機能 - CASTEPの出力で、疑ポテンシャルに由来するゴーストバンドのチェック結果がレポートされるようになりました。ゴーストバンドがある場合、光学特性計算や伝導帯の DOS計算の結果に悪影響が出ます。特定の元素に対して、ゴーストバンドが出現しない新しいOTFG疑ポテンシャルが追加されました。新機能 - SCAN meta-GGA汎関数がDMol3に追加されました。新機能 - DMol3において構造最適化と遷移状態最適化のダイアログにCartesian座標を使用するためのチェックボックスが追加されました。新機能 - DMol3で特異な重なり行列が検出される非常に稀な系でも数値的に安定な解を得ることが可能になりました。新機能 - すべての元素に対してグローバルNGWF半径を設定できる機能がONETEPインターフェースに追加されました。

図 1. Kinetix を用いた Kinetic Monte Carlo シミュレーション中での吸着質の吸着サイトへの占有状態のスナップショット

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計算速度の向上 - CASTEPで有限変位法に基づく振動特性の計算を “Interpolation” オプションを使用して実行できるようになりました。この方法はLloyd-WilliamsおよびMonserratにより開発された非対角スーパーセル法を使用し、本オプションを使わない場合と比較してより効率的に計算できます。新スクリプト - D F T B +においてユーザーが作成したSlater-Kosterファイルをマージするスクリプトが、BIOVIA Mater ia ls Studio Communityから利用可能なDFTB+ Parameterization Tool Setに追加されました。利便性向上 - DMol3においてoutmolファイルでの交換相関汎関数の出力が簡素化され、ユーザーの利便性が向上しました。また、DMol3の構造最適化と遷移状態最適化の進捗に関する出力についても、力やエネルギーの収束条件が満たされているのに計算が続行する場合に、その理由が出力されるように改善されました。利便性向上 - QMERA計算で、スピン分極を考慮した計算においてQM領域の原子に初期スピンを設定できるようになりました。

古典的シミュレーションのハイライト新機能 – ForciteおよびMesociteで使えるForcefieldドキュメントにおいて、二面角相互作用を数値データ( Tabulated形式)で表現できるようになりました。新機能 -Forciteの構造最適化が拡張され、電場が印加された荷電系の最適化が可能になりました。新機能 -GULPコードの最新バージョン5.1が、Materials Studioに組み込まれました。

・MEAM-2NNライブラリに新しい埋め込み原子モデルのパラメータが追加され、計算可能な系の範囲が拡張しました。また、電池シミュレーションに関連するLi-Mn-O系材料で利用可能なMEAM-2NN-QEqライブラリが組み込まれました。 ・Split bond charge electronegativity equalization法が追加されました。 ・ボルツマンの輸送方程式を用いて熱伝導率を計算するサードパーティ製パッケージAlamodeをGULPから実行可能になりました。*

・グリュナイゼン定数、フォノンの群速度、フォノン熱パラメータの平均二乗変位量が計算可能になりました。また、弾性定数の固有値が計算可能になり、弾性安定性を確認できるようになりました。 ・新しい相互作用の関数形として、スレーター・ポテンシャルとBuffered14-7型のレナード―ジョーンズ・ポテンシャルが追加されました。 ・自由エネルギーおよび双極子モーメントを使ったフィッティングが可能になりました。 ・分子や(ガンマ点における)固体の固有振動数が、ReaxFFファミリーおよびMEAMファミリーのライブラリを使って計算可能になりました。 ・GULPに、LiuらによるReaxFF RDXライブラリが新しく追加され、エネルギー材料のシミュレーションが可能になりました。

* 注: Materials StudioではAlamodeなどのサードパーティ製ソフトウェアへのインターフェースは提供されません。

Reflexの新機能Reflex Powder SolveとPowder Refinementで、構造解の探索中およびその精密化中において二面角の自由度に対して最大変化量を指定して抑制できるようになりました。

Materials Visualizerのハイライト ・Materials Studioからトラジェクトリ・アニメーションの AVI動画をエクスポートする際にデフォルトでファイル圧縮が使用されるようになり、一般的なファイル・サイズが 10分の1に縮小しました。また、圧縮AVI動画では、再生時に生じる問題が非圧縮AVI動画で生じていたよりも少なくなることが確認されています。 ・Materials Studioから実行したPipeline Pilotプロトコルのジョブ・フォルダを、その他の計算モジュールの実行時と同様に、ウェブブラウザを通じて確認できるようになりました。 ・Reaction Previewツールが改善され、3次元周期境界条件を持つ系での性能が向上しました。

図 2. RuO2(110) 触媒表面に化学吸着している一酸化炭素の構造

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ダッソー・システムズの3Dエクスペリエンス・プラットフォームvでは、12の業界を対象に各ブランド製品を強力に統合し、各業界で必要とされるさまざまなインダス トリー・ソリューション・エクスペリエンスを提供しています。ダッソー・システムズは、3Dエクスペリエンス企業として、企業や個人にバーチャル・ユニバースを提供することで、持続可能な イノベーションを提唱します。世界をリードするダッソー・システムズのソリューション群は製品設計、生産、保守に変革をもたらしています。ダッソー・システムズのコラボレーティブ・ソリューションはソーシャル・イノベーションを促進し、現実世界をより良い ものとするためにバーチャル世界の可能性を押し広げています。ダッソー・システムズ・グループは140カ国以上、あらゆる規模、業種の約19万社のお客様に価値を提供しています。より詳細な情報は、www.3ds.com(英語)、www.3ds.com/ja (日本語)を ご参照ください。

・3次元密度データがインポートされた構造をAbaqus .inp モデルとしてエクスポートできるようになりました。各データ点での密度が材料の特定に使用され、それに応じて Abaqusモデル内の要素がセットにアサインされます。 ・Pipeline Pilot Connectorから、Pipeline Pilotクライアントの“Implementation”タブの一部のパラメータにアクセス可能になりました。また、Pipeline Pilot Connectorを使用してプロトコル全体を、対応しているキューイング・システムに投入できるようになりました。

MaterialsScriptの機能強化 ・MaterialsScriptにおいてベクトル演算に対応するようになり、オンラインヘルプに説明が追加されました。 ・ONETEPモジュールがMaterialsScriptに対応するようになりました。

新チュートリアル以下の新しいチュートリアルが追加されました。

・Mechanism reduction using sensitivity analysis: 反応機構の研究で使えるCanteraの感度解析の使い方について紹介しています。また反応機構のうち重要な反応のみを選択して合理的な結果を得るための方法を紹介しています。 ・Temperature programmed desorption: Canteraにおける昇温脱離シミュレーションの使い方について紹介しています。

・Employing cluster expansion to calculate random alloy stability and properties using Pipeline Pilot: Pipeline Pilot の Materials Studio Collection に含まれる Random Alloy Stability and Properties (Cluster Expansion) プロトコルを実行する方法を説明しています。 ・Calculating random alloy properties using Pipeline Pilot: Pipeline PilotのMaterials Studio Collectionに含まれる Random Alloy Propertiesプロトコルを実行する方法を説明しています。 ・Cross-linking polymers using Pipeline Pilot: Pipeline Pilot のMaterials Studio Collectionに含まれるCreate Polymer Networkプロトコルを実行する方法を説明しています。 ・Calculating the stress-strain diagram using Pipeline Pilot: Pipeline Pilot のMaterials Studio Collectionに含まれるCalculate Yield Stress and Critical Distortional Strainプロトコルを実行する方法を説明しています。 ・Calculating the glass transition temperature using Pipeline Pilot: Pipeline Pilot の Materials Studio Collection に含まれる Calculate Glass Transition Temperature プロトコルを実行する方法を説明しています。

図 3. DFTB+ の LIB2019 を使った一般的な電池の電解液において分子動力学シミュレーション中における炭酸エチレンの解離