講義内容 - kochi-tech.ac.jp13.5.2 9 レンズの設計#...

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13.5.2 1 講義内容 1. 光の性質:光波、光線、光子 進む向き(屈折/反射)、エネルギー、パワー 2. 幾何光学(光線光学): 光波の進む向きをベクトル行列で簡単に扱う 3. 波動光学: 波として取り扱う現象 (回折、波束、反射率、干渉、偏光) (近軸光線に対する)境界面の作用を表す行列表示 Rは正 Rは負 曲率半径R Rは正 Rは負 曲率半径R

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講義内容

1. 光の性質:光波、光線、光子     進む向き(屈折/反射)、エネルギー、パワー  

2.  幾何光学(光線光学):   光波の進む向きをベクトルと行列で簡単に扱う  

3.  波動光学:   波として取り扱う現象    (回折、波束、反射率、干渉、偏光)  

(近軸光線に対する)境界面の作用を表す行列表示    

Rは正 Rは負

曲率半径R

Rは正 Rは負

曲率半径R

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様々な種類のレンズ    

システム行列でわかること  

屈折力

様々な経路から入射した基底ベクトルの出点、方位   光軸に平行な光入射すると:偏角、焦点距離(屈折力)  

近軸近似において

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薄肉レンズと厚肉レンズ                 

出射 入射 転送 システム行列

薄肉レンズ 厚肉レンズ

薄肉レンズの理想結像条件                 

物体の1点からあらゆる方向に発した光線が  すべて像側の1点に収束する条件

薄肉レンズの結像式

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主要点(焦点・主点・節点)                 

横倍率と主要点(焦点・主点・節点)                 

主要点 定義 物点 像点

焦点 無限遠  前側焦点

後側焦点  無限遠

主点 前側主点 後側主点

節点 前側節点 後側節点

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球面光学系での結像理論  

物体から像までシステム行列の拡張  ⇒シュライエルマッヘルの方程式  

厚肉レンズの結像式

厚肉レンズの焦点  

出射 入射 転送 システム行列

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シュライエルマッヘルの方程式(理想結像)  

シュライエルマッヘルの方程式(理想結像)  

結像条件

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例題:薄肉単レンズの焦点距離と結像  

複数のレンズの合成:組み合わせレンズ    

両凸レンズ:平凸レンズ:平凹レンズ                     メニスカスレンズ(凸、凹)  

   様々な組み合わせレンズのシステム行列を考えてみよう!  

組み合わせレンズ(空間あり)の場合≒厚みのあるレンズ  ( 空間では空気中n=1 厚みS0   レンズ内ではn=nL 厚みSL )  

1

0

-s/n

1a2b2

c2d2

a1b1

c1d1

atotal

btotal

ctotal

dtotal

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     レンズと空間の組み合わせ:焦点  組み合わせレンズ(空間あり)の場合  p59  (理想光学系、レンズ1, 空間は空気中n=1厚みS0 レンズ2)  

各々の屈折力Dj  

レンズ密着(S0=0)の場合  

!

atotal = "1

F1total=

1F2total

=1f j 2j=1

N

#

D = Djj#

!

atotal = "1

F1total=

1F2total

= a1b2 + a2 (c1 " a1s0 )

=b2f12

+c1f22

#

$ %

&

' ( "

s0f12 f22

)1f12

+1f 22

#

$ %

&

' ( "

s0f12 f 22

1

0

-s0

1a2b2

c2d2

a1b1

c1d1

!

a1d2 + c2(c1 " a1s0) b1d2 + c2(d1 " b1s0 )a1b2 + a2 (c1 " a1s0 ) b1b2 + a2(d1 " b1s0)#

$ %

&

' (

 演習7:レンズ配置と焦点、倍率、物体と像の関係  

1. 厚い単レンズのシステム行列  (曲率半径 R1=10cm,  R1=10cm レンズ厚みSL=2 屈折率nL=1.5   のメニスカスレンズの焦点距離)  

2. 厚い単レンズの焦点距離、曲率半径(記載間違いあり↓修正しました)  (レンズ1 曲率半径がともにRで,レンズ厚みSL=3のメニスカスレンズで屈折率nL=1.52場合)   焦点距離100cmを得るために必要な曲率半径  

3. 組み合わせレンズの合成焦点距離  (レンズ1 平凸 曲率半径+5,屈折率1.5、レンズ厚みSL=0   レンズ2 平凹 曲率半径-­‐5,屈折率1.5、レンズ厚みSL=0)   合成焦点距離200cmを得るために必要なレンズ1とレンズ2の間隔S0  

4. 像の位置と焦点距離、倍率  両面の曲率半径が等しいレンズ(前後対称)に  ①平行光を入射、後方9.8cmに点像)(SF2)、  ②レンズの前側頂点の前方14.8cmにある物体(S1)  がレンズ後側頂点後方29.8cm(S2)に倒立実像を結んだ。  レンズ主点からの距離l1,l2 と焦点距離f、像倍率Mを求めよ。  

→質問があったため p260の解答をp54の図を活用して説明します。  ⑴SF2=9.8,  S1=14.8,  S2=29.8,  l1 =f1+z1=f1-­‐(14.8-­‐9.8)=-­‐(f2+5),対称性より同様に l2 =f2+z2=f2+20    これを右上の式に代入すると未知数f2だけの式となりf2=10が得られ、l1 =-­‐15、 l2 =30、M=-­‐2 が求まる    

教科書p69-­‐70より

!

l2 " l1 + al2l1 = 01"l1

+1l2

= a =1f2

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レンズの設計  

何枚ものレンズを組み合わせて  収差やゴーストの生じないレンズを設計

(例)富士フィルム FINEPIX X100

zO

物体像

F

S1=l1

S2=l2

     反射系の結像  

1

0

S1

n

1

1 0

-2

 R 1

1-2s2/R

L

1-s2/R

1

0

S2

n

1 -2n

 R

!

s1n +

s2n

"

# $

%

& ' 1 ( s1R"

# $

%

& '

!

1"l1

"1l2

= a = "2R

=1f2

・鏡の曲率半径Rからの距離l1,l2 はS1、S2と同じ  ・理想光学系はシュライエルマッヘルの方程式の   1行2列=0なので レンズと同様に処理すると  

入射空間n=1   反射(擬似的屈折空間)n=-­‐1 と考えると レンズの式と統一可能    

利点:レンズより曲率同じで屈折力大      点光源から平行ビーム作りやすい      屈折率の波長分散n(λ)がないので色にじみ(収差)がない

13.5.2

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LEDと曲面ミラー

利点:  レンズより曲率同じで屈折力大  点光源から平行ビーム作りやすい  (放物面がベター)  屈折率の波長分散n(λ)ないので  色にじみ(収差)ない

zO

物体

像 Fz

O

物体像

F

 演習8:球面反射鏡による物体と像の関係  

1  球面鏡:凹面鏡、凸面鏡  ①(理想光学系、空気中、曲率半径 12cm の凸面鏡)  ②(理想光学系、空気中、曲率半径 20cm の凹面鏡)  1-­‐1. システム行列(空気中なので n=1)  1-­‐2. 鏡の 焦点距離、焦点の位置、節点の位置  

1

0

S1

n

1

1 0

-2

 R 1

1-2s2/R

L

1-s2/R

1

0

S2

n

1 -2n

 R

!

s1n +

s2n

"

# $

%

& ' 1 ( s1R"

# $

%

& '

2. 凹面鏡で実像が観測される物点の範囲  

教科書p69-­‐70より                 

空気中なので n=1

!

1"l1

"1l2

= a = "2R

=1f2