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テーマ名: 個別事業名:鳥取県における医系単語(医単)の学習用最適教材の新規開発 鳥取大学医学部脳病態医科学 准教授 加藤信介 平成 26 年度内容 1)事業の概要 鳥取県では医師確保が喫緊の課題となっているので、鳥取県内現役高校生の医学部医学科 への進学に対する支援が必要である。都市部では、医学専門の予備校・塾が充実していて、 医学部医学科進学を目指す高校生への支援体制が、鳥取県に比べ遙かに整っている。都市 部の当該予備校・塾を介して鳥取大学医学部医学科へ入学してきた都市部出身の医学生の 地元定着率はきわめて悪い。鳥取県内浪人生が都市部当該予備校・塾から入学した医学生 さえ、地元定着率が良いとはいえないのが現状である。かかる現状下では、卒後医学生の 地元定着率を上げるためには、鳥取県内の現役高校生が鳥取大学医学部医学科に入学でき うるだけの学力を獲得させることが、最も効果的な方策の一つと考えられる。特に英語力 に関しては、医師になっても強く求められる能力の一つである。従って、将来の医師を目 指す医学科進学希望の鳥取県内の現役高校生には、英語力の向上が強く求められる。この 英語力のうち、医系単語(医単)は、一般的な英単語と比べ高い専門性故に、特殊な単語 が多く、当該予備校・塾においても、医単の取り扱いを始めている。医学科を志望する鳥 取県内の高校生には、一般的な英語教材は入手可能だが、医単を最適に学習する教材は見 当たらない。脳病態医科学教室においては、100 編を超える英語論文を執筆してきた加藤 信介には、これまでに主に医学部医学科生を中心として医単の効果的な教育を行ってきた 経験と蓄積してきた知見が存在している。鳥取県内で鳥取大学医学部医学科を目指す現役 高校生と、彼らを教える英語教諭を教育し、トップレベルの英語力の向上を図ると共に、 地域医療を支え得る将来の医師を目指す鳥取県内現役高校生を増やすべく最適な教材を開 発し、高校生・高校教諭に指導方法と共に提供することを目的とする。当該目的を効率よ く達成するために、鳥取県内における特色ある教育を実施している私立高校 2 校を拠点と し、鳥取県内の英語指導教諭などとの共同研究により、 1)実際の大学入試問題で使用された使用頻度の高い医単の新規教材の開発 2)医単教材を使用した最適授業の実施 3)集中最適講義に基づく高校生の最終成績結果を踏まえた改訂版医単の再編集 以上 3 点を実施した。 2)実施内容 (1)大学入試英語問題の分析と新規医単教材の開発 大学入試問題英語長文で実際に使用された使用頻度の高い医系単語(医単)を抽出し、 新規医単教材を開発した。当該教材著作権の教育活動における法律的妥当性を確認した。 (2)高校英語教諭と高校生を対象とした最適化講義と研究会議

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テーマ名:

個別事業名:鳥取県における医系単語(医単)の学習用最適教材の新規開発

鳥取大学医学部脳病態医科学

准教授 加藤信介

平成 26年度内容

1)事業の概要

鳥取県では医師確保が喫緊の課題となっているので、鳥取県内現役高校生の医学部医学科

への進学に対する支援が必要である。都市部では、医学専門の予備校・塾が充実していて、

医学部医学科進学を目指す高校生への支援体制が、鳥取県に比べ遙かに整っている。都市

部の当該予備校・塾を介して鳥取大学医学部医学科へ入学してきた都市部出身の医学生の

地元定着率はきわめて悪い。鳥取県内浪人生が都市部当該予備校・塾から入学した医学生

さえ、地元定着率が良いとはいえないのが現状である。かかる現状下では、卒後医学生の

地元定着率を上げるためには、鳥取県内の現役高校生が鳥取大学医学部医学科に入学でき

うるだけの学力を獲得させることが、最も効果的な方策の一つと考えられる。特に英語力

に関しては、医師になっても強く求められる能力の一つである。従って、将来の医師を目

指す医学科進学希望の鳥取県内の現役高校生には、英語力の向上が強く求められる。この

英語力のうち、医系単語(医単)は、一般的な英単語と比べ高い専門性故に、特殊な単語

が多く、当該予備校・塾においても、医単の取り扱いを始めている。医学科を志望する鳥

取県内の高校生には、一般的な英語教材は入手可能だが、医単を最適に学習する教材は見

当たらない。脳病態医科学教室においては、100 編を超える英語論文を執筆してきた加藤

信介には、これまでに主に医学部医学科生を中心として医単の効果的な教育を行ってきた

経験と蓄積してきた知見が存在している。鳥取県内で鳥取大学医学部医学科を目指す現役

高校生と、彼らを教える英語教諭を教育し、トップレベルの英語力の向上を図ると共に、

地域医療を支え得る将来の医師を目指す鳥取県内現役高校生を増やすべく最適な教材を開

発し、高校生・高校教諭に指導方法と共に提供することを目的とする。当該目的を効率よ

く達成するために、鳥取県内における特色ある教育を実施している私立高校 2校を拠点と

し、鳥取県内の英語指導教諭などとの共同研究により、

1)実際の大学入試問題で使用された使用頻度の高い医単の新規教材の開発

2)医単教材を使用した最適授業の実施

3)集中最適講義に基づく高校生の最終成績結果を踏まえた改訂版医単の再編集

以上 3点を実施した。

2)実施内容

(1)大学入試英語問題の分析と新規医単教材の開発

大学入試問題英語長文で実際に使用された使用頻度の高い医系単語(医単)を抽出し、

新規医単教材を開発した。当該教材著作権の教育活動における法律的妥当性を確認した。

(2)高校英語教諭と高校生を対象とした最適化講義と研究会議

第 1回研究授業会議:平成 26年 5月 29日

於 学校法人矢谷学園鳥取城北高等学校

出席者:鳥取城北高校 校長 山根 昌弘

鳥取城北高校 教諭(英語科主任) 山根 正樹

鳥取県地域振興部 教育・学術振興課 課長補佐 山本 直生

鳥取城北高校 高校 3年生 1名

鳥取大学医学部脳病態医科学 准教授 加藤 信介

第 2回研究授業会議:平成 26年 8月 9日

於 学校法人矢谷学園鳥取城北高等学校

出席者:鳥取城北高校 校長 山根 昌弘

鳥取城北高校 教諭(英語科主任) 山根 正樹

湯梨浜学園 教諭(英語科主任) 中原 洋

鳥取城北高校 高校 3年生 1名

高校 2年生 1名

湯梨浜学園 高校 2年生 3名

鳥取大学医学部脳病態医科学 准教授 加藤 信介

助教 瀧川 みき

(3) 第 2回研究授業会議で実施した医単教材のさらなる最適化に向けた改善

3)結果

(1) 大学入試問題より、過去 5 年間における、大学入試センター試験英語長文と全国 770

校の大学で出題された大学入試二次試験英語長文から、医系英単語(医単)を抽出した。

出題校、出題年、日本語訳、発音記号を併記し、アルファベット順に配置した。特に入試

問題に於いて使用頻度の高かった上位 362の医単を選抜し、この 362医単を最重要医単と

して、新規医単教材を作成した。この医単教材の研究教材対象は、独立行政法人大学入試

センターが実施した大学入試センター試験英語長文及び全国 770校の大学という法人機構

が実施した大学入試英語長文である。このため、本事業で作成した医単の著作権管理に関

する法律的検討会議を実施した。

医単教材の著作権管理に関する法律的検討会議:平成 26年 12月 26日 於三宅法律事務所

出席者:三宅法律事務所 弁護士・弁理士(著作権専門) 松本 好史

鳥取大学産学・地域連携推進機構知的財産管理運用部門 教授 三須 幸一郎

鳥取大学産学・地域連携推進機構知的財産管理運用部門 准教授 山岸 大輔

鳥取大学産学連携 係長 大塚 卓弥

鳥取大学医学部脳病態医科学分野 准教授 加藤 信介

結論は、本事業で作成された医単教材は、教育材料として使用することには法律的には全

く問題が無く、今後もこの医単教材を使用して本事業を発展させていくことを全員一致で

確認した。

(2)研究会議実施結果

第 1回研究会議結果:

鳥取県内で鳥取大学医学部医学科進学を志す学生が在籍する、学校法人矢谷学園鳥取城

北高等学校、学校法人湯梨浜学園高等学校を対象拠点高等学校とすることを確認した。鳥

取城北高校の校長、英語担当教諭、鳥取県地域振興部教育・学術振興課担当者、及び鳥取

城北高校 3年生の生徒と共に、鳥取大学医学部医脳病態医科学分野加藤信介を中心に、医

単教育に際しての講義の最適化について検討した。大学入試英語長文問題に対する最重要

医単 362語の習得のため、指導にはおよそ 6時間の集中最適講義指導時間を要することが

決定された(図 1)。

図 1. 第 1 回研究会議。左から鳥取

大学医学部脳病態医科学准教授加藤

信介、鳥取城北高校 3年生、鳥取県

地域振興部教育・学術振興課山本直

生。右前から、鳥取城北高校校長山

根昌弘、鳥取城北高校教諭(英語科

主任)山根正樹。

第 2回研究会議における集中最適講義に向けての準備研究結果:

高校 2年生、高校 3年生及び高校教諭が、およそ 6時間の集中最適講義指導を受ける際

の疲労度を医学的に検討する目的と、その指導効果の有効性を判定する目的を実施するた

めに、加藤信介自身が 9時間に及ぶドイツ語の集中講義を受けることでその検証を行った。

平成 26年 6月 8日鳥取大学脳病態医科学分野教室において、国立米子工業高等専門学校

非常勤講師渋山昌雄氏の協力の下、午前 10:00-正午(2時間)、午後 1:00-午後 6:00(5時

間)、午後 7:00-午後 9:00(2時間)の 9時間のドイツ語集中講義を実施した。

準備研究結果として、疲労度判定に関しては、医師でもある加藤信介自身と瀧川みきの

両医師から診た医学的疲労度は多少認めるものの、むしろ、加藤信介自身の自覚的判定は、

疲労感よりは 9時間集中講義内容を習得したという達成感の方が大であった。科学的な面

からの語学習得効果判定としては、集中講義後は、講義内容のドイツ語長文を暗唱できる

程の効果を得た。疲労度判定と語学習得効果判定の両判定結果から、午後 1:00-午後 6:00

の 5時間の間に 30分程度のブレーク(休憩)時間を設けることが、より効果的であること

が判明した。当該準備研究結果に基づいて、第 2回研究会議の対象が高校生であることを

考慮して、最適集中講義の総時間を 5時間とすることと決定した。

さらに、高校生本人の意思のみならず、高校生の保護者の同意を得た上で実施すること

とし、高校生本人及びその保護者の同意書を取ることも決定した。

第 2回研究会議結果:

学校法人矢谷学園鳥取城北高等学校志学館教室にて、鳥取大学医学部脳病態医科学准教授

加藤信介を講師とし、今回の研究会議のために新規作成した 362語医単教材を実際に使用

した。指導対象は、受講を希望した本人及び保護者の同意を得た高校生 5名及び、鳥取城

北高等学校教諭(英語科主任)1名、湯梨浜学園教諭(英語科主任)1名の計 7名とした。

集中最適講義は、午前 10:00 開始とし 2 時間施行、昼休憩 1 時間をはさみ、午後 1:00

に再開し午後 4:30に終了した。昼休憩の他に、午後の授業には 30分間のティーブレイク

を挟んだため、午後の授業時間は実質 3時間となり、合計で 1日 5時間の授業とした。

最初に講師である鳥取大学医学部脳病態

医科学准教授加藤信介が、新規医単教材

に基づく集中最適講義を開始するに先立

ち、当該新規医単教材の特徴とその学習

方法を説明した。

鳥取大学医学部脳病態医科学准教授加藤

信介を中心として、周囲に高校生 5名、

画面手前左に湯梨浜学園教諭(英語科主

任)中原洋、手前右に鳥取城北高校教諭

(英語科主任)山根正樹が配置し、集中

最適講義を受けた。

集中最適講義の後は、再三にわたり、反

復して音読することで、知識の定着を図

った。音読を数回行った後は、加藤によ

り生徒を指名し、医単の発音の正確さと

日本語の意味を答えさせた。

知識定着を確認するために、医単

362 語を 50 語ごとに区分けし、50

語ごとに小テストを行った。

左の図は、加藤が医単 362語に対す

る知識定着のために、Papez の記憶

回路を充分に研究して、効率よく記

憶できるように新規開発した医単に

準拠した試験タイプの教材を小テス

トとして使用している様子である。

小テストには特に制限時間は設け

なかったが、医単 50 問あたり 15

分程度で十分に回答可能であった。

小テストの回数を追うごとに、高

校生は要領も得て、学習能力が向

上し、小テストに要する時間も短

縮した。

午後の集中最適講義が開始され、

講義も中盤に入ったが、加藤及

び学生、英語教諭の疲労度は、

医師である加藤自身と瀧川との

両医師の視診の結果、軽度であ

ると診断した。

午後の集中最適講義開始 2時間

後の講義終盤の様子。加藤と共

に医単の内容を皆で唱和する高

校生達。講義終盤に入り、小テ

ストの得点が上昇傾向であった

ことが学習意欲を向上させたた

めに、むしろ、講義当初に比較

して、格段の習得度がみられた。

講義終盤における小テストの様

子。開始当初に比べて試験時間

がかかることはなく、むしろ短

時間で解答を行っていた。医師

である加藤と瀧川との両医師の

視診の結果、高校生達の疲労度

は、比較的軽度であると診断で

きた。

集中最適講義の間のティーブレイ

クに、医学部医学科で実際に施行

している基礎神経学・神経病理学

の医学科生に講義している一部を

抜粋し、今回講義した医単を用い

て高校生に実施した。医学科生に

おける実際の授業内容に、高校生

達全員は強い関心を示した。

ティーブレイクでは、実際に脳病

態医科学教室で行っている研究の

一端も、簡単に理解しやすく講義

した。高校生達全員は興味を持っ

て聴講し、高校生なりの本質的な

質問もあった。

表 1.集中最適講義による各高校生の成果

氏名 第 1回

(素点)

第 2回

(素点)

第 3回

(素点)

第 4回

(素点)

第 5回

(素点)

第 6回

(素点)

第 7回

(素点)

総 得

総合

高 3生 76(38) 72(36) 70(35) 82(41) 80(40) 70(35) 81(50) 275 76

高 2生 72(36) 88(44) 80(40) 90(45) 92(46) 96(48) 98(69) 320 88

高 2生 74(37) 94(47) 98(49) (96(48) 86(43) 96(48) 98(61) 333 92

高 2生 54(27) (64(32) 68(34) 74(37) 78(39) 78(39) 89(55) 263 73

高 2生 46(23) 50(25) 36(18) 40(20) 70(35) 46(26) 87(54) 198 55

講義直後とはいえ、5名の高校生の最重要医単の平均正解率は 76.8%と高い結果を出した

(参照:鳥取大学医学部医学科 2年生の医単講義前の試験結果:平均正解率 33.2%)。

3)当該事業の成果を踏まえた改訂版医単の再編集と当該事業の今後の展開

新規開発教材「医単」を用いた集中最適講義は、医学科進学意欲のある高校生に対して

は、非常に効果的であることが判明した。同時に、英語高校教諭には医単を含む英語授業

に対する高い指導モチベーションを与えた。

この当該事業の成果を踏まえ、今後は、当該事業を更に発展させることにより、鳥取県

内現役高校生が積極的に鳥取大学医学部医学科受験を希望する動機づけになると確信した。

当該事業の高い成果を踏まえ、大学側としては、新規開発医単教材のさらなる洗練化及

び最適化を追求する。具体的には、過去 10年間、可能であれば過去 15年間に実施された

大学入試センター試験英語長文と全国 770校の大学で出題された大学入試二次試験英語長

文を対象として、医単の抽出を試みたい。この作業により、医単教材のさらなる洗練化・

最適化がもたらされる。

さらにはより発展的な新規教材開発として、医単のみならず、英語長文そのものを最頻

度順に 200英語長文を選抜した新規教材作成を予定したい。その根拠の一例として、Peter

Trudgill 著書である Sociolinguistics の第 1 章第 1 節の英語長文は、大学入試問題とし

て過去 15年間に 52回も出題されているというデータを我々は保有している。

当該事業の実施結果は、「鳥取県内高校生が現役で鳥取大学医学部医学科に進学し、地域

医療を担うべし」という命題を高校生の意識のみならず彼かを指導する教諭の意識にも浸

透するということを証明できた。さらに、本事業に参加したいと申し出た高校生の保護者

に関しても、保護者の同意書という形で確認したところ、今回、保護者の同意が得られな

かった生徒は一人もおらず、鳥取県内の鳥取大学医学部医学科進学希望数、即ち、将来の

地域医療を支える医師の数は、潜在的に多いものと考えられた。このような潜在的医学科

進学希望高校生及びその保護者の発掘を惹起する「医単」を用いた集中最適講義は、将来

の地域医療を支える医師確保に繋がるものと確信した。

4)我々が施行した平成 26年度地域貢献支援事業に対する、学校法人湯梨浜学園高等学校

英語科主任及び学校法人矢谷学園鳥取城北高等学校英語科主任の各教諭から実際にいただ

いた意見を掲載する。

湯梨浜高等学校英語科主任 中原 洋 教諭

鳥取大学医学部加藤信介准教授の授業を受けるため、湯梨浜高等学校 2 年生 3 名と共に

参加した。大学での講義と同じ方式で、医学部生に必要な単語の習得を目的とした講義を

受けた。実際の講義内容として、まず、362 語を 50 語ごとに区切った。加藤准教授に合

わせ、まず音声活動(発音)から開始した。その後加藤准教授が生徒を指名していき、そ

れぞれの単語の意味を生徒に答えさせた。50 単語ごとに小テストを行い、各生徒の正答率

をホワイトボードに書きこんだ(表 1 参照)。最後に全体の得点率を計算した。

生徒の反応としては、初めは慣れない方式に戸惑っていたようであるが、慣れるにつれ

て正答率も上昇していった。最終的には 9 割を超える正答率を出す生徒もいた。この結果

からは、今回の授業は、医学科志望、または難関大志望の生徒にとって非常に刺激的なも

のになったと確信している。また、自分自身については、医学科の教授に直接指導してい

ただき、大学で行っている内容をそのまま実践していただくということは自身のモチベー

ションのアップにもつながった。また、現役の医学科准教授が、医学部生に必要と考える

単語をピックアップしていただいているデータも非常に有益であると考えている。

医療系英単語学習会の効果について

学校法人矢谷学園鳥取城北高等学校英語科主任 山根 正樹 教諭

医療系単語は通常の英語の授業や模試・資格検定試験等では触れる機会が少なく,

専門用語も多数あるため意識して覚えないと覚えることができない分野の単語である。

加藤准教授はその単語を過去の医療を題材とした大学入試問題から摘出し,膨大なデ

ータベースを作成された。そのデータベースには非常に価値があり,さらに頻度別に

分類されていたため,参加した生徒もすんなり覚えることができた。

英単語の覚え方は多種多様な方法が提唱されてきたが,その中でも音声が大切であ

るということは誰しもが認めるところである。今回の英単語学習会では,繰り返し発

音をすることで,生徒が音声面から単語を習得することに成功していたように思える。

また,他校の生徒や学年の違う生徒もいる中での学習会であったため,競争意識が

各生徒にあり,学習の動機付けの面でも大きな成果があったと言える。