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クラウド・コンピューティングと次世代 IT ZOROK 1 IT レポート Vol.91 クラウド・コンピューティングと次世代 IT デバイスからサービスへ - 明確にシフトしているモバイル・ビジネス- 2016 年 10 月 配本 オンライン接続されていれば すべてのチャートの拡大表示が可能です ZOROK 株式会社 鵜澤幹夫

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クラウド・コンピューティングと次世代 IT ZOROK

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IT レポート Vol.91

クラウド・コンピューティングと次世代 IT

デバイスからサービスへ

- 明確にシフトしているモバイル・ビジネス-

2016 年 10 月 配本

オンライン接続されていれば

すべてのチャートの拡大表示が可能です

ZOROK 株式会社 鵜澤幹夫

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クラウド・コンピューティングと次世代 IT ZOROK

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Contents

はじめに ..................................................................................................... 3

モバイルは世界標準のインターネット・デバイス .................................................. 5

コモディティ化するモバイル・デバイス ............................................................ 10

デバイスからサービスへの明確なシフト........................................................... 19

今月のまとめ ............................................................................................. 27

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はじめに

Google の Android および Apple の iOS が、スマートフォン・プラットフォーム市

場を支配し、US におけるインストール・ベースに関しては、両社で 95.7% をコント

ロールするという勢いである。そして、グローバル市場においても、この 2 つのオ

ペレーティング・システムは、サブスクライバー獲得の戦いを繰り広げているが、US

と China に代表される大規模な市場は、すでに飽和状態に至っている。

成長の速度という面では iOS デバイスが優っているが、出荷台数では Android が

ローエンド市場と新興市場で勝り、また、今後の成長も期待できるだろう。最近の動

きとしては、昨年の iPhone 6 および 6 Plus の発売により、iOS は大きく伸びてい

るが、Android も 2015 年 Q2 に勢いを取り戻している。

この BI Intelligence の最新レポートは、2015 年の前半に生じた、スマートフォン

市場における最大の発展について、各国のプラットフォーム状況も含んだかたちで、

詳しく解説している。また、グローバルにおける大手ベンダーたちが、いくつかの急

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成長しているモバイル市場で戦うために、用いている戦略についてもレビューしてい

く。

このレポートの、主だった視点は、以下のとおりである:

iOS デバイスの成長率は、Android デバイスの成長率を上回っている。iOS

デバイスの出荷ベースは、前年比で 35% の成長率を達成し、4750 万台に

至っている。それは、2014 年の同期における 12% という成長率と比べて、

はるかに素晴らしい年間成長率となっている。さらに言えば、2015 年 Q2 に

おける、Android の 13% という前年比成長率も上回っている。

ベンダーのシェアとしては、依然として Samsung と Apple の支配が続いて

いるが、その他の出荷台数における大半を、China メーカーが占めるという

状況に至っている。Samsung と China のメーカーは、2015 年 Q2 の

China スマフォ市場の減速と、この巨大市場への Apple デバイスの浸透によ

り、大きな影響を受けている。

US のスマートフォン市場は、世界で最も成熟していると言えるだろう。この

6 月の時点における、スマートフォンの所有率は、77% に達している。この、

US という飽和状態のマーケットで、プラットフォームとベンダーにとって最

大の課題は、頻繁なアップグレードで、ユーザーを飽きさせないことだろう。

India の市場は、スマートフォンの売上を伸ばすという意味で、将来における

伸びしろを使い切っていないが、この状況も、間もなく変化していくだろう。

2015 年 Q2 の India では、携帯出荷台数の 44% ほどを、スマートフォンが

占めている。また、India は、2017 年のスマフォ出荷台数で、US の を上回

ると予想されている。

以前に、「iPhone の3台に1台は中国で売れている?」という抄訳をポストしたが、

大量の中産階級を生み出している中国経済が、iPhone のシェアを伸ばす原動力に

なっているのだろう。その一方で Android は、中国を含むアジアや、ブラジルが牽

引する南米の市場などで、新しいスマフォ・ユーザーを生み出している。すでに、

2013 年の初頭には、中国のスマフォ台数がアメリカを追い抜いている。 そして、

2017 年にはインドが追い抜いていくとも言われている。

このように、スマフォは、インターネット・アクセスにおける世界標準のデバイスへ

と成長している。しかし、iPhone 7 の不調が示すように、輝けるデバイス・ビジネス

の時代は、すでに終焉に向かっている。しかし、それは、スマフォ・ビジネスの終わ

りではない。現に、Facebook だけではなく、Uber や Airbnb といった、新しい

サービスが、素晴らしい勢いで成長している。今月は、デバイスからアプリ/サービ

スへと移行する、モバイル・ビジネスの変化について追いかけていく。

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モバイルは世界標準のインターネット・デバイス

2015 年の 12 月のことだが、その年のスマフォの販売台数に関して、IDC が予測を

公表した。世界の人口が 70 億人+ であるた、前年対比の成長力も、どこかで鈍化し

ていくが、すでに中国マーケットは飽和点に近づいているようだ。以下のチャートは

家電全般を示すものであるが、おそらくスマフォも、似たような状況にあるのだろう。

そして、これからの数年は、インドのマーケットが注目を集めていくはずである。

ただし、それらは、デバイスに限った話であり、毎日のように進化し続ける、あらゆ

るアプリとサービスが、世界の人々に(ほぼ)均等に降り注いでいくところに、この

マーケットの躍動を感じてしまう。

Smartphone market to post single-digit growth first-time ever: IDC

AFP | Dec 4, 2015

http://timesofindia.indiatimes.com/tech/tech-news/Smartphone-market-to-

post-single-digit-growth-first-time-ever-IDC/articleshow/50038612.cms

WASHINGTON: グローバルにおけるスマートフォンの成長率だが、China の景気減速と

いう流れの中で、初めて一桁台に留まるという、市場予測が明らかにされた。 調査会社

である IDC は、グローバルのでスマートフォン出荷台数について、2015 年は 14.3 億

台に達するが、前年比で 9.8% の成長に留まると予測している。

こうした予測は、

Asian/Latin

America/

Western Europe

の大半で、成長率

が鈍化していると

いう状況を反映し

ている。この冷え

込みは、2019 年ま

で続くと、IDC は

予測している。最

も注目される

China マーケット

であるが、景気後

退に見舞われ、また、スマフォ自体が飽和点に近づいている。

IDC は、この新しいレポートで、「 China マーケットが、買い替えの市場となっている」

という見解を示している。これから期待されるのは、Middle East と Africa のマーケッ

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トである。 その成長率は、50% ほどに至るとされ、India および Indonesia といった、

新興経済国を追い越すことになる。

IDC のアナリストである Ryan Reith は、「スマートフォン市場は、最終的には一桁台の

成長率へと鈍化していくが、いくつかの要因より、その勢いは維持される」と述べてい

る。

そして、彼は、「現状におけるメインの推進力は、途上国マーケットでの低コスト・スマ

フォの成功であるが、それは生き続けるだろう。そして、順番に、初めてのスマート

フォンから、価格志向のスマートフォンへと、売り手と買い手の関心がシフトしていく」

と続けている。

いくつかの途上国では、そのリプレース・サイクルが、2年という一般的な期間より短く

なる。その理由について、「 $100 以下のスマートフォンを構成するコンポーネントは、

これからの2年を生き残るために必要な、能力を持ち合わせていないからだ」と Reith

は述べている。つまり、現状においては、売り手と買い手の双方にとって、適切な価格

のプロダクトを提供していくことが、成長力の維持とベンダーの成功にとって、きわめ

て重要になるのだろう。

IDC の発言によると、今年は Android が 81.2% というシェアを獲得し、依然として支

配権を維持しているようだ。その一方で、Apple は 15.8%、Windows Phone は 2.2%、

その他が 0.8% のシェアになるという。

同じく 2015 年 12 月に、2016 年のモバイル・インターネット人口に関する予測が公

表された。世界の人口が 70 億人だとして、そのうちの 40 億人が就労人口とすると、

約 50% の人々がモバイル・デバイスを所有し、そこからインターネットにアクセス

する時代になるという。以下の記事に含まれるチャートは、約二年前の調査結果を示

したものだが、その時点におけるモバイル・ユーザー数は、約 12 億〜14 億人だと読

み取れる。また、前述に記事によると 2015 年だけで 14 億台ほどのモバイル・デバ

イスが出荷されたようである。そう考えると、2016 年の 20 億台という数字が少な

いように思えるが、買い替えにより廃棄されているデバイスが大量にあり、また、出

荷ベースとアクティベーション・ベースでは、大きな差異も生じるはずなので、整合

性のある数字だと捉えることができる。そして、ディジタル・ネイティブ世代が、

次々と社会に送り出されていく現実と重ね合わせてみると、 あらゆるものがモバイ

ル・デバイスからアクセスさせる世界へと、私たちが突き進んでいる状況が容易に把

握できる。

Over 2 B to use mobile devices to access the Internet in 2016

By eGov Innovation Editors | 2015-12-22

http://www.enterpriseinnovation.net/article/over-2-b-use-mobile-devices-

access-internet-2016-629864290

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以下の記事のチャートで示される、現時点の VDA (Virtual Digital Assistant) 数だ

が、その大半がスマフォ上の Siri/Cortana/Google Now などで占められるのだろ

う。そして、Amazon の Alexa が Echo で活用されているように、デバイスの垣根

を超えて、各種の VDA が活躍の場を広げていくのだと思える。ここで予測されてい

る 2021 年の 18 億人であるが、ざっくりとしたところで、世界人口の 1/4 程度に

なる。当然、その対象は個人だけでなく、ビジネスにおけるチームなどにも広がって

いくはずだ。

Over 2 B to use mobile devices to access the Internet in 2016

By eGov Innovation Editors | 2015-12-22

http://www.enterpriseinnovation.net/article/over-2-b-use-mobile-devices-

access-internet-2016-629864290

調査会社である IDC によると、2016 年のインターネットは、20 億台以上のモバイル・

デバイスからアクセスされるようだ。

低コストのデバイスと、安価なワイヤレス・ネットワークの組み合わせは、膨大な人口を

抱えながらも、経済で遅れを取ってきた国々に、容易なインターネット・アクセスを提供

しようとしている。このレースをリードしているのは China/India/Indonesia などで

あり、また、これから5年の間に、グローバル・アクセスの半分ほど占めるようになる。

Strategic Advisory

Service

の Program

Director であ

る Scott Strawn は、

「これからの5年

において、モバイ

ル・デバイスだけを

用いて、インター

ネットにアクセス

する人々の数は、

年間で 25% 以上と

いうペースで成長

していく。さらに

言えば、それぞれ

の人々がインターネットに費やす時間も、増加し続けるというのが、グローバルにおけ

る傾向となっている。このように、私たちのインターネット・アクセス形態が変化するこ

とで、モバイル・コマースとモバイル・アドの爆発的な成長に拍車が掛かっていく」と述

べている。

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インターネット・ユーザーたちが、オンラインで行っていることを調べてみると、多様な

目的を実現する手段として、数十億もの人々がメリットを得ている状況が明らかにな

る。

たとえば、10 億以上の人々が、オンライン・バンキングや、音楽ストリーミング、そし

て仕事探しなどに、インターネットを使用している。また、20 億以上の人々が、電子

メールやオンライン・ニュースなどで、インターネットを使っている。そして、オンライ

ン・ショッピングも、これまで以上に利用されるようになった。

2015 年が終わる時点で、オンラインにおける 旅行/書籍/CD・DVD/アプリ/教育と

いった分野で、$100 billion の対価が費やされているはずだ。そして、一連の購入は、

オンラインとオフラインでの支払いを簡単かつ安全に実現する、オンライン・ペイメン

ト・プラットフォームで決済されていく。

IDC が言うには、こうした変化を広告主も認識しており、それに応じて支出先をシフト

しているようだ。すべての広告形態の中で、モバイル・アドとオンライン・ビデオだけが、

成長しているという状況にあるのだ。

PC ユーザーであれば、8 GB の RAM が、どれだけのパフォーマンスを生み出すも

のかを知っているはずである。それだけの RAM があれば、メモリ不足で困るという

状況には、ほとんどのケースで陥らないと思えれる。その一方で、いまの ARM チッ

プは、しっかりとしたマルチ・コアを実現しているため、これで RAM が増えれば、

ほとんど PC と言ってよいほどの、パフォーマンスを発揮してくれるだろう。そして、

Qualcomm の新チップである Snapdragon 830 は、最大で 8GB の RAM をサ

ポートすると言われている。いつも持ち歩いているスマフォを、職場や自宅でドッキ

ング・ベイに挿し込めば、すぐにワークステーションとして動き出すという日が近づ

いているのだろうか。

Qualcomm Snapdragon 830 chipset to support 8GB RAM?

TOI Tech – Dec 3, 2015

http://timesofindia.indiatimes.com/tech/tech-news/Qualcomm-Snapdragon-

830-chipset-to-support-8GB-RAM/articleshow/50029588.cms

Qualcomm が Snapdragon 820 チップを発表してから、まだ数週間しか経っていない

が、すでに Snapdragon 830 という、次世代チップ・セットのウワサが飛び交っている。

そして、Qualcomm の Snapdragon 830 を特徴づけるのは、最大で 8GB の RAM を

サポートするチップ・セットという点である。すでに Samsung が、モバイル・デバイス

用として、世界で初の 6 GB RAM を開発しているが、まだ、大量生産には入っていな

い。

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この、Snapdragon

830 と 8 GB RAM の

ウワサは、China で

信頼の厚いアナリス

トである、Pan

Jiutang が出処である。

さらに彼は、この

Qualcomm チップ

は、”MSM8998″ モニ

カーを採用すると、

付け加えている。

いまのスマフォ・メー

カーたちは、他社と

の競合において、自社プロダクトを差別化するための手段を模索している。そう考える

と、RAM が 8 GB というのを、突拍子のない話として、片付けることもないのかもしれ

ない。

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コモディティ化するモバイル・デバイス

iPhone 7 の売れ行きが伸び悩んでいるようだ。以下で紹介する記事は、iPhone と、

iPad と、Mac の成長が頭打ちになっていることを伝えるものである。iPad と Mac

だけではなく、iPhone の成長にも陰りが見てくる状況を、どのように解釈すべきな

のだろう。

Apple can’t keep relying on the iPhone forever — it needs a new hit

Matt Rosoff – Jan. 26, 2016

http://www.businessinsider.com/apple-needs-a-hit-2016-1

2016 年 1 月の収支報告において、Apple CEO の Tim Cook は、同社に平凡なパフォー

マンスをもたらしたマクロ経済を非難するために、異常とも思える時間を費やした。

彼は、重要とされる地域における、経済の減速に対して不満を述べている:

Brazil/Russia/Japan/Canada/Southeast Asia/Australia/Turkey/

Eurozone などを含む主要マーケットが、経済の減速/物価の下落/株価の低落な

どの影響を受けている。

彼は、Apple 製品をさらに高額にしてしまう、それらの国々の通貨の弱さも批判してい

る:

2014 年の会計年度の終わり以来、たとえば Euro と British Pound は、二桁も下

落している。そして、Canadian Dollar/Australian Dollar/Mexican Peso/

Turkish Lira といった主要通貨は、20% 以上も下落している。さらに言うなら、

Brazilian Real は 40% 以上の、Russian Ruble は 50% 以上も下げている。Apple

の売上における 2/3 は、United States 国外から生じるため、こうした為替の変動

が、業績に非常に大きな影響をおよぼしている。

さらに彼は、これまでと同じペースで、China などのマーケットへ投資を継続していく

のかという質問に対して、原油価格の下落に言及することで回答としている。

結論として、今日におけるそれらのマーケットが、不調であることに疑いの余地はない。

Russia と Brazil や、いくつかの国々の経済は、きわめて原油価格と連動しているのだ。

言うまでもなく、私たちの決算は合格点をクリアしている。そして、それらの国々は、

素晴らしいマーケットであり、そこのユーザーたちにサービスを提供したいと考えてい

る。

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しかし、マクロ経済よりも、大きな問題があるのも明らかだ。つまり、Apple は、2010

年の iPad 以来、ヒット商品を出していないのだ。

しかも、Apple の長

期的な成長を達成す

るために、Mac と

iPhone と並んで三

本柱の一角を構成す

るはずだった iPad

は、その規模を急激

に縮小している。そ

の販売台数は、これ

までの 2 年間におい

て、すべての四半期

決算でマイナス成長

を記している。そこ

で Apple は、2015

年 11 月に iPad Pro リリースしたが、この地滑り的な凋落を、まったく止めることがで

きていない。

この iPad の低落だが、iPhone の絶対的なパワーが続いている間は、無視しても良かっ

たのかもしれない。しかし、ついに Apple は、それが許されない状況に追い込まれたの

だろう。

この収支報告会に

おいて Cook は、

2015 年 3 月期の

iPhone がマイナス

成長になるという、

数多くのアナリス

トたちが示した予

測を認めている。

iPhone 7 がモンス

ター・ヒットとなり、

再び Apple を救う

のかもしれない。

つまり、iPhone 6

の再来となるわけ

だ。

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しかし、私は懐疑的である。iPhone 6 は、大型スクリーンのスマフォを求めるユーザー

たちの、鬱積した不満を解消するものだったのだ。つまり、Steve Jobs が言っていた

4-inch iPhone 最強説から離れ、Samsung の大型スクリーン戦略を賢明にも追いかける

ことで、Apple の売上は急上昇したのだ。

需要を満たすプロダクトがなければ、いったいどうなるのか? Apple が提供しない何か

を、競合する他社から購入するのは、どのような人なのか?

その答えは、スマ

フォ・マーケットの成

熟度と密接に関連す

る。つまり、スマ

フォ・ユーザーたちは、

必ず買い替えの時期

を迎えるのだが、そ

の 2 年〜3 年という

自然なサイクルを速

める人は皆無なので

ある。そして、常に

Apple が選ばれると

は限らないのだ。

ところで、Mac の売上も、2013 年から好調とは言えない状況が続いている:

So what’s next?

Apple Watch は、同社が必要とするヒット作になっていない。過去最高だった、2015

年 Q4 を除いて、その売上に関する数字は公開されていないが、いくつかの逸話が不調

を伝えている。私は、ギークたちに囲まれる人生をおくっているが、US のガジェット好

きな街々で、誰かが Apple Watch を身に着けているという姿を見たことがないのだ。

このプロダクトだが、接続された各種デバイス間のリンクとして、いずれは離陸してい

くのだろう。ただし、iPod の出だしが低調だったのと同様に、しばらくは時間がかかる

だろう。いずれにせよ、Apple が売上について情報を提供するまで、その実態について

は、誰も知ることはできないのだ。

Apple TV も、似たような状況にある。 このプロダクトもニッチなものであり、ゆっく

りと四半期セールスを成長させているが、収益の構成要素として、とりわけ重要なもの

とも思えない。Apple は Watch だけではなく、Beats ヘッドフォンにも注力している。

このプロダクトは、収支上では “Other” に分離されるものであり、Apple の総売上であ

る $75.9 billion とは別に、$4.3 billion を計上している。

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そうなると、次の大型クロダクトは、何になるのか? Apple にとって、投資のエリアは

クラウド・サービスになるだろうと、Cook は示唆している。

私たちの将来計画という観点で、特定のことについて、コメントしたいとは思わないが、

何かが必ず立ち上がる。それが、私たちの将来にとって、それほど重要ではないエリア

だとするなら、それに取り組むこともないだろう。

彼は、以前からウワサになっている、Apple TV ストリーミング・サービスを示唆したい

のかもしれない。それは、ケーブル TV よりも細かく分類されたチャネルを、より安価

で提供するものとされている。しかし、コンテント提供のための契約を進めるのか、

Time Warner のような大手メディアを買収するのかという、大きな仕事が Apple に要

求される。未来の TV は登場するだろうし、それを Apple も提供するだろうが、いまの

段階で具体化している話ではない。

それに加えて、Apple のサービスに、優れたものが存在しないという問題がある。依然

として Apple Maps は、Google Maps ほどの使い勝手に達していない。Siri が正しく動

くのは、ほぼ二回に一回という具合だ。また、iCloud の混乱には、イライラさせられる。

私のケースだと、iCloud ストレージの容量が一杯で、iPhone のソフトウェア更新に問

題を抱えているが、もっと容量を購入しろと言われている。さらに言うなら、交信を始

めるまで、私は容量不足に気づいていなかった。 また、Apple Music は、バグの固まり

である。

したがって、世界を変えるオンライン・サービスを提供するだけの才覚が、Apple にある

と思えないのだ。 率直に言うと、持っていないのだ。 素晴らしいハードウェアと、いつ

も輝いているソフトウェア、そして、比類のないリテール・エクスペリエンスはあるのだ

が、オンライン・サービスはというと、それほどのものでもない。

Apple では、CEO である Tim Cook と、Executive である Eddy Cue が、Apple Music

/Apple Pay/iCloud/Apple Maps/Siri といった、ソフトウェア&サービスを監督し

ている。

誤解しないで欲しいが、Apple がトラブルに陥っているという話ではない。同社は、四

半期ごとの利益として、その歴史におけるベストを叩きだしたところである。そして、

バランス・シートには、$200 billion 以上のキャッシュと、各種の投資が記載されている。

また、10 億台以上の Apple デバイスが、現時点で実際に使用されており、論理的に考

えるなら、それらすべてのデバイスへ向けて、Apple はサービスを販売し、また、ダウ

ンロードさせることが可能なのだ。さらに言うなら、これまでのヒット商品を、とりわ

け iPhone を、2 年〜3 年のサイクルで繰り返して販売し、ユーザーのアップグレードに

対応していくことも可能なのだ。

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しかし、これまでの 10 年間と同じスピードで、Apple が成長し続けていくためには、

昔からのクラシックなプロダクツを、作り直すだけでは足らない。つまり、新たなヒッ

ト作を、提供する必要があるのだ。

この iPhone の停滞は、昨年の 12 月の時点で、すでに予測されていた。いわゆるク

リスマス・ホリデー・シーズンの、iPhone 6S の売行きが思わしくなったのだろう。

例年だと、秋にデビューする新しい iPhone が、年末にかけて売上のピークを記録す

るのだが、その勢いが目論見に達しなかったのだと思われる。iPhone に限ったこと

ではなく、スマフォというデバイスが、いま以上に魅力的になれるのかという議論も、

これからの Apple には付きまとうのだろう。

We may look back at 2015 as ‘peak iPhone’

Matt Rosoff – Dec. 14, 2015

http://www.businessinsider.com/iphone-sales-by-year-2015-12

今週のことだが、

Morgan Stanley のアナ

リストである、Katy

Huberty が爆弾のよう

な予測を投下した。そ

れは、Apple iPhone の、

2016 年における販売台

数が、初めてマイナス

成長に落ち込むという

ものだ。(Apple の会計

年度は、クリスマス・

シーズンの入りとなる、

10 月 1 日から始まり、

9 月 30 日に終了する)

この、Statista が作成したチャートは、Apple の素晴らしい履歴を示している。会計年

度としての、2014 年から 2015 年にかけての大きなジャンプは、このビジネスを

Apple が始めた時点から見て、最も印象的な成長を示している。それは、2014 年の後半

に、ついに Apple が、大型スクリーンのスマフォを採用したことで生じた変化である。

つまり、Samsung Galaxy シリーズの、大きなアドバンテージを破壊したのだ。

しかし、2015 年の後半にリリースされた、最新の iPhone には、そのような大きな変化

が見られない。つまり、2016 年の早い時期に、Apple が手品でも見せないかぎり、

iPhone のピークは 2015 年だったと、私たちは過去を振り返ることになるだろう。

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2016 年の 4 月には、中国での iPhone の売行きが大幅に減速していると、いくつか

のニュースが伝えるようになった。この最大のマーケットでの不調が、Apple にとっ

ては痛いところだが、iPhone というより、高価格帯のスマフォ全般に、低落の傾向

が見られるのだろう。その証拠に、Apple と Samsung が販売台数を減らし、この

ところ絶好調の Huawei でさえも、高価格帯のプロダクトは不調だと伝える記事も

あった。この領域でも、凄まじい勢いで、コモディティ化が進んでいると思われる。

The end of the iPhone’s amazing eight-year run

Matt Rosoff – Apr. 25, 2016

http://www.businessinsider.com/apple-iphone-sales-by-year-2016-4

この火曜日(4/19)に提出された Apple の収益報告書は、2016 年 Q1 の売上が前年比

較でマイナスとなり、同社にとって 2003 年以来の後退を予想させるものであった。

その理由は、iPhone の

成長がカベに突き当

たっている点にある。

KGI Securities

の Ming-Chi Kuo は、

これまでの実績からし

て、最も正確に Apple

の動向を分析するアナ

リストである。その彼

が、今年の iPhone の

販売台数は、1.9 億台〜

2.05 億台に留まると予

測しているのだ。

Statista によるチャー

トが示すように、2007 年に iPhone が登場して以来、こうしたマイナス成長は初めての

ことである。

PC の到来は別にして、iPhone は、このハイテク業界を変革する上で、どのプロダクト

よりも多くのことを成し遂げてきた。つまり、この業界全体を破壊して再生するという、

スマートフォン革命の幕を開けたのだ。そして、年間で 2 億台の iPhone を販売するこ

とは、いまもなお素晴らしいビジネスである。とは言え、Apple は、他の成長分野を見

つけ出す、必要性に迫られるだろう。

以下のチャートは、2009 年から 2012 年までの 4 年間で、Blackberry + Nokia の

旧勢力と、Android という新勢力が完全に入れ替わり、その後の 3 年間は不変にな

るという、この数年におけるモバイル市場の動向を端的に示している。その中にあっ

て、ずっと一定のシェアを保っている iOS は、このマーケットからの収益の大半を

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かき集めているようだ。その一方で、世界の 80% を示す Android は、デバイス・ビ

ジネスとしては、iPhone のような利益を稼ぎ出してはいない。

The meteoric rise of iOS and Android in one chart

Eugene Kim – Feb. 29, 2016

http://www.businessinsider.com/ios-and-android-dominate-

marketshare-2016-2

先週に WhatsApp が、いくつかの古いスマフォ OS へのサポートを停止するとアナウン

スしたが、その中には、3 年前にリリースされた Blackberry 10 も含まれていた。

そして WhatsApp は、

「人々の大半が使用す

るモバイル・プラット

フォームに、私たちは

注力していきたい」と、

そのブログポストで述

べている。

スマフォ OS の、これ

までの変遷を眺めてみ

れば、WhatsApp の決

定が理にかなってると、

誰もが納得するだろう。

この、Statista による

チャートが示すように、Google Android の 81.6% と、Apple iOS の 15.9% という

シェアに、スマフォ・マーケットは支配されているのだ。

いまの状況は、2009 年にスマフォが登場したときと、完全に逆転している。その当時に

販されていた、ほぼ 80% のスマフォは、iOS と Android ではなく、Blackberry や

Nokia などが供給する OS を搭載していたのだ。WhatsApp によると、現時点で利用さ

れているスマフォの 99.5% が、Google/Apple/Microsoft から提供される OS を走ら

せているとされる。

以下の、Gartner の調査をベースにしたチャートは、出荷台数をベースにしたもので

あり、また、2016 年の数字は 1 月〜6 月の累計となっている。前日の記事における

2015 年の内訳は、Android が 81.6% で、iOS が 15.9% であるが、その 2015 年

と比べて、さらに Android が伸びている。デバイス・ビジネスとしては、莫大な利益

を得ることができない Android が、大きな成長を達成している背景には、デバイス

からアプリへと、つまりサービスへと、ビジネスの主体がシフトしている状況がある

のだろう。

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クラウド・コンピューティングと次世代 IT ZOROK

17

The Smartphone Platform War Is Over

Felix Richter – Aug 22, 2016

https://www.statista.com/chart/4112/smartphone-platform-market-share/

グローバルにおけるスマートフォン市場では、メーカーたちが消費者の愛情と財布を狙

うという意味で、これまでと同様に競合が繰り返されていが、その一方では、長年にわ

たるプラットフォーム戦争が終結しようとしている。Gartner の最新レポートによると、

グローバル・スマートフォン売上の 99% を Android と iOS が占め、その他のプラット

フォームが無意味なものにされている。

このチャートを見れば、

Android と iOS による独

占が、以前からの現象で

はなかったことが分かる。

2010 年の時点に戻ると、

この 2 つの OS を搭載す

るデバイスは、グローバ

ル・スマートフォン販売

台数の 40% 以下を占め

るに過ぎない。その当時

は、Nokia の Symbian

と BlackBerry を搭載す

るデバイスが、スマート

フォン販売台数の大部分を占め、また、Microsoft のマーケット・シェアも 4.2% あっ

た。

Symbian は絶滅し、BlackBerry は Android デバイスへと移行を開始し、諦めていない

のは Microsoft だけとなった。同社は、プロフェッショナル・ユーザー向けのプラット

フォームとして、Windows 10 Mobile をプッシュしている。Windows や、その他のプ

ラットフォームが、依然として Android と iOS の支配に立ち向かう、チャンスを狙って

いるのだろうか? ここまでくると、かなり疑わしいと思われる。

2015 年 12 月の時点で、Ericsson がスマフォ滅亡論を展開している。以下に紹介す

る、Metro UK のページには読者アンケートもあり、スマフォが消えないが 77% で、

消えるが 18% という結果が示されている。いまの半導体の集積率は、凄まじい勢い

で高まっており、最新スマフォの計算能力が、腕時計サイズの筐体に収まるまで、5

年もあれば充分とも思える。また、Google Now/Cortana/Siri などの、いわゆる

パーソナル・アシスタントが洗練されてくれば、入力と制御に関する問題も解決され

るだろう。 ただし、いつになっても表示機能は必要であり、Google Glass のような

デバイスには、依然として期待が寄せられる。

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クラウド・コンピューティングと次世代 IT ZOROK

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Smartphones ‘are going to die out within five years’, report predicts

Rob Waugh – Dec 8, 2015

http://metro.co.uk/2015/12/08/smartphones-are-going-to-die-out-within-five-

years-report-predicts-5552164/

私たちの大半は、目を覚ましている限り、スマートフォンと共に時間を過ごしているが、

それが変化していく可能性もある。Swedish テレコム・エキスパートである Ericsson の

レポートには、これから5年の間に、スマートフォンが死んでいくという可能性が示唆

されている。

Sweden を含む 39 カ

国の 10 万人を対象とす

る、このレポートが明

らかにしているのは、

スマートフォンは「終

わる」と、数多くの

人々が考えている点で

ある。 このテレコム・

ジャイアントが調査し

た結果によると、その

代わりに、私たちは AI

を駆使したヘルパーに

話しかけ、スクリーンを必要としなくなるという。

この業界における、いわゆるテック・グルたちの多くは、Apple Watch のようなウェア

ラブル・ガジェットが、ゆっくりとスマートフォンを置き換え始めると予測しているが、

その変化が急激に起こるとする、何人かの専門家もいる。

Ericsson ConsumerLab の Rebecka Cedering Ångström は、「手のひらを占有してし

まうスマートフォンは、実際のところ、それほど実用的ではない」と述べている。たと

えば、自動車を運転しているときや、調理をしているときに、それらは使いものになら

ない。それに加えて、液晶ディスプレイが、あまり適さないという、数多くの局面もあ

るのだ。

そして、彼女は、「スマートフォンが5年以内に消えていくと、二人に一人が考えるのは、

前述のような背景があるからだろう。いまの時代、新しいデバイスに関するアイデアは、

きわめて短時間でマス・マーケットに広まっていく。ただし、今回の調査は、テクノロ

ジーを対象とするものではなく、消費者が考えにフォーカスするものだ」と述べている。

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クラウド・コンピューティングと次世代 IT ZOROK

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デバイスからサービスへの明確なシフト

以下の記事のタイトルには、2020 年の 2800 億という数字が踊っているが、すで

に 2015 年の時点で、グローバルでのアプリのダウンロード数は 1120 億であり、そ

のうちの 50% をアジアが占めているよだ。そして、今年のダウンロード数は 1490

億に届き、その半分以上の 810 億を、アジアが占めることになると予測されている。

このアプリのダウンロード数は、モバイルの浸透度を測る重要な数値であり、何年も

前から言われてきた、アジア市場の爆発的な成長が、世界のモバイル経済を引っ張っ

ていることが証明されている。

App Annie predicts worldwide app downloads to hit over 280 billion by

2020

Judith Balea – Sep 8, 2016

https://www.techinasia.com/app-annie-predicts-worldwide-app-downloads-hit-

280-billion-2020

イメージして欲しいのは、Twitter や Apple Watch からドミノ・ピザを注文する日がく

ることだ。さもなければ、スターバックスでコヒーを飲みながら、店内で提供される

サービスから、あなたの Spotify へミュージックを加えるような状況だ。

そのような日常は、世界的なブランドが顧客を繋ぎ留めるものであり、積極的にモバイ

ル・アプリを採用する以前に、意外と早くやってくるだろう。App Annie の CMO である

Al Campa が、Tech in Asia Tokyo 2016 のプレゼンテーションで、そのような内容を

語っていた。

App Annie が集計し

た 2015 年のデータ

によると、グローバ

ルでのアプリのダウ

ンロード数は 1120

億であり、そのうち

の 50% をアジアが占

めているという。そ

して、今年は、この

インテリジェントな

プラットフォームに

おける、ダウンロー

ド数の予測は 1490 億に届くが、その半分以上の 810 億を、アジアが占めることにな

る。

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クラウド・コンピューティングと次世代 IT ZOROK

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このチャートを見ると、アプリのダウンロード数は 2020 年まで伸び続け、2880 億に達

すると予測されるが、その 60% にあたる 1650 億が、アジアのマーケット規模となる。

Al Campa は、「ダウンロードはビジネスの始まりに過ぎない。マネタイズが望みならば、

ユーザー数を増やし、良好なエンゲージメントを、ユーザーとの間に築かなければなら

ない」と指摘する。

北京で設立された App Annie は、ビジネスにおける適切な意思決定を支援するために、

アプリに関する洞察と、大量のデータを提供している。同社は、グローバルにおける

Top-100 アプリ・パブリッシャーや、70 万人以上のアプリ・プロフェッショナルと協力

してきた。

「アプリは、膨大な時間を人々に消費させる。それは、私たちも同じであり、それに費

やす時間は、この 2 年間で二倍になっている。背景にあるのは、爆発的に増えたデバイ

スの種類と、India/Indonesia/Vietnam などの急成長するマーケットだ」と述べてい

る。

昨年の統計によると、モバイル・デバイスに費す、一人あたりの平均時間は 1 時間だった

が、そのうちの 51 分がアプリで消費されている。つまり、モバイル・ブラウザに費やさ

れる時間が、想像するより少ないことが分かってきた。そして、今年の Q2 には、モバ

イル・アプリでの消費時間は 53 分に上昇し、その後も増加し続けている、と彼は述べて

いる。

人々がモバイル・デバイス上で行うことが、継続的に増えてきているが、単にゲームで遊

ぶような用途を意味しているわけではない。コミュニケーション・アプリに費やされる時

間は 100% 増であり、また、ソーシャル・アプリは 120% 増、そして、メディアやビデ

オのアプリは 200% 以上で成長している。しかし、新しいエリアにも、モバイル・アプ

リは展開され始めていると、Al Campa は述べている。

ユーザー企業は、セールスやマーケティングから、モバイル・アプリを使い始めたが、こ

れまでとはことなるプロダクツやサービスにも、その範囲を広げ始めている。そして、

いまでは、チケットの販売や、メディア・ストリーミング、サポート・サービスといった、

基幹ビジネスでのモバイル・アプリの採用が始まっているのだ。

Al Campa によると、とても興味深い領域としてバンキングがあるようだ。たとえば、

ヨーロッパでは、Top-10 の銀行において、処理数が飛躍的に成長している。

彼は、「この領域で注目すべきは、モバイル・デバイスによるバンキングが推進され、25

歳未満の人々の間で人気を博しているという現実である。つまり、一般消費者が、納得

してモバイル・デバイスを使うようになれば、ATM の台数や店舗数が削減され、また、

従業員も削減されることになる。そして、それらの銀行は、大幅なコスト削減を達成す

ることになる」と述べている。

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クラウド・コンピューティングと次世代 IT ZOROK

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しかし、それだけが全てというわけではない。すべてをモバイル・オンリーで攻めてくる、

フィンテック・スタートアップたちとの競争に、それらの銀行は直面しているのだ。こう

したスタートアップが、バンキング・サービスに挑戦してくるため、既存勢力も対抗せざ

るを得ないのだ。

バンキングはさておき、モバイル・アプリの使用状況において、劇的な成長を目の当たり

にしてきた業界として、ファースト・フード・レストランやリテールがあると、彼は付け

加えている。

スマフォの役割がインターネット・コミュニケータだとして、さらにフレンド・コミュ

ニケータとしての使い方を重視するなら、たとえば Uber のようなアプリは、メッセ

ンジャーに一体化されるべきなのかもしれない。言うまでもなく、メッセンジャーで

の主役は会話であり、それを解釈する Siri や Now や Cortana が、目覚ましい勢い

で成長している。そうなると、モバイルにおけるユーザー・インターフェイスの一部

が、デバイスから遊離していくという状況にもなり得る。

Ordering an Uber ride through Facebook Messenger feels like the

futureAlex Heath, Tech Insider – Dec. 16, 2015

http://www.businessinsider.com/how-to-use-uber-in-facebook-messenger

すでに Facebook Messenger は、キャッシュ送金や、

ビデオ通話たけではなく、カスタマー・サービスのサ

ポートのためにも利用できる。

そして、いま、Uber を申し込むためにも、このアプ

リを使えるようになった。つまり、Facebook と

Uber が提携したことで、Messenger アプリを離れる

ことなく、その申し込みが可能になったのだ。

私たちも、試しに使ってみたが、Messenger のよう

なアプリから、ダイレクトに Uber を呼び出すことに、

ちょっとした未来を感じるようになった。そして、い

までは Tech Insider スタッフの多くが、それぞれの

友人たちと会うために、この機能を毎日のように利用

することになってしまった。

また、Uber の方も、この Messenger を介した初め

ての乗車を無償にするという、すばらしいサービスを

提供している。

以下は、Messenger から Uber を呼び出す手順であ

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クラウド・コンピューティングと次世代 IT ZOROK

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る:

1: 私の同僚である Steve Kovach が、New York City の Penn Station で会わないかと、

連絡してきた。 私は、Uber で行きたかったので、この小さなボタンをタップした。

2: つづいて、”Transportation” をタップし、Uber と連絡を取る。

3: メッセージ・スレッドの中に、小さな自動車のアイコンが見えるだろうが、それは前

もって、Messenger に Uber をセットしているからである。これをタップするだけで、

直ちに Uber を呼び出せる。

Facebook が WhatsApp を買収してから、二年半ほどが経とうとしているが、その

時から広告型ビジネスへの移行が想定されていたのかもしれない。 その頃の

WhatsApp ユーザー数は 4.5 億人ほどであったが、すでに二倍のレベルに至ろうと

している。そして、低価格のサブスクリプション費で、とにかくユーザー数を増やす

という戦略で、ここまで走り続けてきたわけだが、途上国マーケットのユーザーに

とって、カード決済のためのインフラが欠落しているという現実があるのだ。

The CEO of WhatsApp explained why it killed its subscription fee

Max Slater-Robins – Jan. 18, 2016

http://www.businessinsider.com/whatsapp-ceo-jan-koum-on-the-future-2016-1

WhatsApp の CEO である Jan Koum は、同社における $0.99 の年間サブスクリプ

ションを廃止すること、および、その理由について、Wired とのインタビューで説明し

ている。

彼は、「私たちは、コ

ンシューマの空間で、

ほんとうに良くやっ

てきた。しかし、あ

なた自身の一日を考

えてもらうと、コ

ニュニケーションに

他の側面があると、

理解できるだろう。

それが、企業とのコ

ミュニケーションだ」

と説明している。

この、サブスクリプションの廃止により、WhatsApp は途上国マーケットにおいて、と

りわけ India や Burazil において、膨大な新規ユーザーにアクセスできるようになる。

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クラウド・コンピューティングと次世代 IT ZOROK

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彼は、「India や Brazil の人々にとって、支払いの手続きが、きわめて困難なのだ。つま

り、それらの国々では、クレジット・カードや、そのためにインフラが普及していないの

だ」と述べている。

しかし、それらの数多くの人々に、さまざまな企業がアクセスしていくことになる。た

とえば、Facebook が、1.2 billion の MAU (monthly active users) を抱えているのも、

広告から膨大な収益をあげられるからという、理由に裏付けられている。

Koum は、同社のブログ・ポストで、従来からの広告モデルを拒否しているが、

WhatsApp からリーチできるものは、企業にとって、きわめて貴重なものである。

想定される企業とのインタラクション方式について、WhatsApp は何も特定してはいな

いが、レストランを考えた場合の例を、Koum は教えてくれた。彼は、「レストランから

の返信には、おそらく3種類のオプションがある。それに対してユーザーは、ボタンを

タップするだけで、予約を完了できるはずだ」と述べている。

WhatsApp のサービスに支払われてきた対価について、同社は公表していないが、リー

クされた文書が示唆するのは、2014 年の上半期で $15 million (£10 million) という売

上額であり、それほどの金額でもないのだ。その一方で、同じ期間において、$250

million (£175 million) の経費が生じているようだ。

Facebook の CEO の Mark Zuckerberg は、WhatsApp が新たな収益方法を考え出した

と言い、アナリストや投資家に対して、弱気にならないようにと促している。それは、

Facebook が 2006 年〜2007 年で苦労したことと、同じなのである。

以下の記事は、WhatsApp における広告型の ビジネス・モデルへの移行と、言わんと

していることが一致している。 つまり、企業ユーザーによる負担との引き換えで、

エンド・ユーザー同士の会話を無償にしていくというロジックである。たとえば、

Messenger と Uber のインタラクションのケースであるが、トランザクションが発

生するごとに、Uner から Facebook へと、何らかの対価が支払われるのだろう。な

お、文中でも指摘されている WeChat は、メッセンジャー・ペイメントのパイオニア

とも言える実績を積み上げているようだ。この領域が、2016 年に顕在化してきた、

新しいモバイル・ビジネスである。

What Are Facebook Messenger Users Doing, Besides Sending Messages?

David Cohen – Jan 14, 2016

http://www.adweek.com/socialtimes/gwi-facebook-messenger-actions-

infographic/632819

Facebook Messenger アプリ・ユーザーの、最も一般的なアクションが、メッセージの送

受信であっても何の不思議もないが、その他のケースでは、どのように使われているの

だろうか?

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クラウド・コンピューティングと次世代 IT ZOROK

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GlobalWebIndex によると、以下のような頻度で、Messenger アプリは使われることに

なる:

1. Sent a message, 90 %

2. Sent a photo, 48 %

3. Sent a sticker, 35 %

4. Used Messenger.com on a PC

or laptop, 22 %

5. Sent a video, 21 %

6. Made a video call, 18 %

7. Sent a voice recording, 15 %

8. Received a message from a

brand or company, 15 %

GWI から SocialTimes へのメール

には、以下が記されていた:

このリストの Brand および

Company からのメッセージ受信は、

8 番手の 15% に過ぎないが、

Mssenger における未来の方向性を明確に示している。

最近になって、このアプリに Uber が統合されたが、それは WeChat を追いかけた結果

だと捉えられる。つまり、シンプルな P2P メッセージング・アプリから、特定のサービ

スを促進するプラットフォームへと、その機能が移行したことになるのだ。

そこから容易に推測できるのは、将来的におけるアクティビティが、つまり、

オンライン・ショッピング/食品の注文/レストランの予約/タクシーの予約といった日

常の行動が、Facebook のチャット・アプリから離れることなく、すべて完了するという

状況である。

Readers: 明確にされた用途に加えて、あなたは Messenger を、どのように使うのだろ

うか?

真正面から途上国マーケットに取り組んでいくためには、否が応でもモバイル・

ファーストになっていくき。 そのような背景が、以下のチャートには隠されている

のだが、たとえばインドの通信事情というと、まだ 2G の世界が主体であり、その品

質も悪いよだ。また、Facebook が初めてのモバイル・アプリとなる人々に、セキュ

リティという概念を教える役割まで担っているようでもある。そんな努力があって、

達成された数字だと評価すべきであるが、Facebook とは異なる切り口で、Uber や

Airbnb といったスタートアップが、凄まじい勢いで世界中に広まっている。

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クラウド・コンピューティングと次世代 IT ZOROK

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Facebook is officially a mobile-first company

Matt Rosoff – Nov 5, 2015

http://www.businessinsider.com/facebook-mobile-only-users-most-common-

2015-11

Facebook は、モバイル移行における投資で、他の大手インターネット企業よりも良い

仕事をしている。

同社は 2012 年 5 月に株式を公開したが、まさに、そのタイミングで、モバイル・アドの

事業を立ち上げている。そして、9 月 30 日に終了した四半期で、モバイル・アドの収益

は全体の 78% に達し、同社の大黒柱に成長している。

この Statista のチャー

トが示すように、モバ

イル・オンリーの

Facebook ユーザー数は、

2012 年の初頭と比較し

て7倍ほどに成長し、

また、直近の四半期で

は、モバイル+デスク

トップのユーザー数を、

初めて上回ることに

なった。 この成長を支

えるのは、途上国のモ

バイル・ユーザーであり、

そのうちの大半の人々にとって、スマフォだけが唯一のコンピュータとなっている。そ

れらの国々は、モバイルの通信速度が遅いという状況にあるが、この数年において

Facebook は地道な作業に取り組み、自身のサイトが適切に機能するよう対応してきた。

「Windows は Office を売るための OS」であり、「iOS は デバイスを売るための

OS 」、そして、「Android は 広告を売るための OS」というふうに捉えることも可能

である。プロダクト/サービスと金銭が交換されるという、これまでのピュアなマー

ケット構造に、第三者の財布から広告費を引き出して充当するという、Google の

Android が登場したことで、デバイスの価値が変容したのだ。そして、Android は

ケンカする相手ではなく、利用すべき相手なのだという Microsoft の変身ぶりが、こ

の Satya Nadella インダビューに現れていると思える。 さらに踏み込むなら、文中

でのグラフとノードいう比喩は、いうまでもなく Azure Graph への伏線である。

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Microsoft CEO Satya Nadella explains why it doesn’t matter if only a

handful of people have a Windows phone

Max Slater-Robins – Dec. 31, 2015

http://uk.businessinsider.com/satya-nadella-on-windows-10-mobile-

marketshare-2015-12

Microsoft の CEO である Satya Nadella は、同社のモバイル OS のシェアが、グロー

バルで 1.7% に過ぎないことについて、さしたる問題になっていないという認識を、

BuzzFeed とのインタビューで披露している。

マーケット・シェアだ

けで成功を測ること

は、Microsoft 自体を

害することに繋がる

と、彼は述べている。

そして、「もう少し、

Graph 的な発想を

持ってもらえるなら、

すべてのデバイスが

Node として機能する

ことが分かるはずだ。

ときには、すべての

Microsoft デバイスが、

ユーザーにより使用されるだろう。 ときには、Microsoft デバイスは1つか2つであり、

他のプラットフォームも使用されるというケースもあるだろう。 したがって、それを可

能にすることが大切なのだ」と、人々が同社のプロダクトを利用するときの、捉え方つ

いて語っている。

Nadella が重要だと指摘するのは、たとえ、Windows Phone が使用されないとしても、

Windows 10/Xbox/Office が使用されるなら、そこに Windows Phone を促進する

理由があるという論理だ。 つまり、それら、ずべては1つのものであり、同じものだと

いう捉え方である。

そして、「私たちは、それら、すべてのデバイスを横断するエクスペリエンスが、完全な

ものになることを、確認していきたい」と、彼は述べている。

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クラウド・コンピューティングと次世代 IT ZOROK

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今月のまとめ

2015 年 12 月に、Business Insider が、きわめて興味深いデータを公表している。

それは、未来のディジタル・ビジネスが向かっていく方向を示し、それぞれの視点を

共有するためのものだと、同社は主張していた。

以下に紹介する、いくつかのチャートには、「7 predictions about the future of

media」というタイトルが付された。そして、その導入部である「Digital will

inherit the earth」を、Business Insider が記事としてポストしている。

最初のチャートは、

2011 年〜2015 年の

US における、各種メ

ディアの衰退と成長

を示している。Print

が生まれ、Radio が

発明され、さらに TV

が普及するというふ

うに、これまでの歴

史においても、浮き

沈みがあったと推測

できまるが、わずか5年の間に、ここまでドラスティックに変化したことは無かった

だろう。 そして、すべての衰退分を、Mobile が吸い上げている点に注目すべきであ

る。

二番目のチャートは、

これほどまでにディジ

タルが、若年層に好ま

れているという状況示

している。 左から、

(水色)TV を観る、

(赤)新聞・雑誌を読

む、(緑)ラジオを聴

く、(灰)PC などを使

う、(朱)スマフォを

使う、、、という比率で

ある。このデータは 2013 年のものだが、今年のデータを推測するなら、右から左へ

と浸食が進んでいるはずだ。

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三番目のチャートは、

US における世代構成

を示すものである。 一

番 左の(赤)Gen-Z

は 2000 年代に入って

から生まれた人たちで、

その隣の(水色)

Millennials は 2000 年

代に成人となった人た

ちと、大まかなところ

で分類されている。そ

して、左から右へと、世代交代が繰り返されていくわけである。まるで氷河のような、

ユックリとしたスピードではあっても、誰にも止められない、強大な圧力を感じてし

まう。

Business Intelligence は、この Gen-Z と Millennials を、最初のディジタル・ネイ

ティブ世代と名づけている。そして、この、星を継ぐものたちが、全人口の 45% を

占める時代に入ったと指摘している。彼らの、メディアに対する好みは、これまでの

人々と、大きく異なっている。 18 歳〜24 歳 の人々の、TV を観る時間が、この4

年強の間に、極端に減少しているのだ。

それとは反対に、

ディジタル・メディア

の利用時間は、以下

のように伸びている。

そして、成長分の大

半は、モバイル・アプ

リにより、もたらさ

れている点に注目す

べきだ。 そこだけを

比較すると、2013 年

から 2015 年にかけ

て、ほぼ二倍という成長を遂げているのだ。

日本においても、若者たちのモバイル依存度は高く、また、それを前提としたビジネ

スが活性化している。また、アプリからメッセンジャーへと、ビジネスのプラット

フォームが移行しているのも同じである。このような方向へのシフトが進めば、やが

てはスマフォからも、モバイル・ビジネスは遊離していくとも思える。

October 31, 2016