V o l - 滋賀大学 · \` b 2016.07 Vol. 44 CONTENTS 3 ¶ ÕT w ... [t¯SM®Îl] oz »q sqw È t...

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西V o l . 44 2016.07

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  • [発行日]平成28 年7月[発 行]国立大学法人 滋賀大学[編 集]滋賀大学広報室     〒522-8522 滋賀県彦根市馬場一丁目 1-1

         TEL.0749-27-7524

    滋賀大学広報誌

    関西電力株式会社    

    山本

    大貴

    さん

    彦根市立城北小学校

    教諭 矢田

    麻希子

    さん

    集卒業生の

    いま

    Vol.44

    Vol.44

    我が国初の「データサイエンス学部(申請中)」が誕生します

    2016.07

  • 3

    CONTENTSVol.44

    3 学長からのメッセージドラマ「滋賀大学の未来」

    我が国初の「データサイエンス学部(申請中)」が誕生します

    滋賀大学長 位田 隆一

    ドラマ「滋賀大学の未来」

    滋賀大学長 位田 隆一い  だ  りゅう いち

    学 長 か ら の メ ッ セ ー ジ

    クラブ&サークル インフォメーション女子硬式テニス部

    アカペラサークル MEBA☆CHIKO

    滋賀大学生協学生委員会 CIEL

    バドミントン部

    16教育学部

    教育学部

    経済学部

    経済学部

    表紙解説宇田川準一『物理全志』

    「琉球貿易図屏風」

    19

    留学体験記留学で学んだこと

    韓国留学体験記教育学部卒業生 真木 優美

    経済学部社会システム学科 4回生 小倉 早央里

    18

    滋賀大学のいま 6

    在学生のいま「未来への食育」に向けた活動

    東南アジア、ラオスの現状と寄付活動

    14

    学生支援 生活協同組合の学生支援活動

    12

    卒業生のいま矢田 麻希子さん (彦根市立城北小学校 教諭)

    山本 大貴さん (関西電力株式会社)

    10

     滋賀には「海」はないが、日本最大の「琵琶湖」がある。都

    から近い淡水の海という意味で「ちかつあふみ」(近淡海)、

    万葉集では「あふみのみ」(淡海の海)と呼ぶ。琵琶湖は大

    きいだけではない。古代湖で、50種類以上の固有生物が生

    息する。湿地の生態系保存のための「ラムサール条約」※に

    登録された、生物圏としても世界的に著名な湖である。滋賀

    県では琵琶湖を「Mother Lake 母なる湖」と呼んでいる。滋

    賀大学は、この豊かな自然「琵琶湖」を背景に、湖東彦根に

    経済学部を、大津石山に教育学部を擁して、3年後には大

    学設立70周年を迎えることになる。

     この100年近くの間に、日本は、そして世界は大きく変容

    を遂げた。18世紀が産業革命の世紀と呼ばれたのに対し

    て、20世紀は科学技術革命の世紀と称された。私たちはそ

    れぞれの革命の恩恵を受け、今に至っている。そうした変容

    の中で、大学は何を目指すのか。大学を取り巻く社会が変

    容する中で、大学はどうあるべきなのかが、いま問われてい

    る。長い伝統と優秀な教職員・学生を擁する滋賀大学も例

    外ではない。これまでの伝統を誇りにし、礎としつつも、いま

    私たちの置かれた社会の中で大学の新しい役割と責務を

    考えなければならない。学問には日々新しい展開がなけれ

    ば進歩はない。大学もまた毎年新しい学生諸君が入学し、

    新しく卒業生が社会に出ていく。そこに前進がなければ、大

    学の価値はない。大学とは、単に深い知識を得るところでは

    ないことは入学式で述べた。「考える場」である。今までにな

    い新しい考えを模索し、新しい解決を見出し、新しいものを

    発見・発明するところである。

     では、滋賀大学はどこに向かおうとしているのか。私たち

    はその答えを世に問おうとしている。その一端が、データサ

    イエンス学部であり、教職大学院(高度教職実践専攻)であ

    る。それらは、社会の動きや変化を、学問研究として、また教

    育として、大学が主体的に取り入れた構想である。今年度中

    にこれらの二つは文部科学省による審査が行われ、来年4

    月にはそれぞれ彦根と石山にその姿を見せ、活躍が始ま

    る。それは、既存の2学部にとっても、新しい可能性を開く

    ことである。教育学部と経済学部を縦軸に、データサイエ

    ンス学部を横軸にした逆Π(パイ)型の教育研究体制に

    より、これまでになかった主たる専門と副たる能力を兼ね

    備えたΓ(ガンマ)型人材の育成が、また学校教育の高度

    なプロフェッショナルの養成によりわが国の「人づくり」の根

    幹の強化が、目指される。

     その主役は在学生と新入生、そして将来滋賀大学に入学

    する学生たちである。学生諸君が、こうした構想を基盤に、

    自分たちの滋賀大学をどんな大学にしたいか、どんな大学

    であって欲しいか、を考えながら、「滋賀大学の未来」という

    壮大なドラマを創るのだ。

    特集4

    ※「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(1971年2月2日制定)

    教育学部 教育学部と滋賀県・市町教育委員会との連携       ―地域教育の発展・向上を目指して―

    経済学部 史料館の「企画展」のこと

    3

    CONTENTSVol.44

    3 学長からのメッセージドラマ「滋賀大学の未来」

    我が国初の「データサイエンス学部(申請中)」が誕生します

    滋賀大学長 位田 隆一

    ドラマ「滋賀大学の未来」

    滋賀大学長 位田 隆一い  だ  りゅう いち

    学 長 か ら の メ ッ セ ー ジ

    クラブ&サークル インフォメーション女子硬式テニス部

    アカペラサークル MEBA☆CHIKO

    滋賀大学生協学生委員会 CIEL

    バドミントン部

    16教育学部

    教育学部

    経済学部

    経済学部

    表紙解説宇田川準一『物理全志』

    「琉球貿易図屏風」

    19

    留学体験記留学で学んだこと

    韓国留学体験記教育学部卒業生 真木 優美

    経済学部社会システム学科 4回生 小倉 早央里

    18

    滋賀大学のいま 6

    在学生のいま「未来への食育」に向けた活動

    東南アジア、ラオスの現状と寄付活動

    14

    学生支援 生活協同組合の学生支援活動

    12

    卒業生のいま矢田 麻希子さん (彦根市立城北小学校 教諭)

    山本 大貴さん (関西電力株式会社)

    10

     滋賀には「海」はないが、日本最大の「琵琶湖」がある。都

    から近い淡水の海という意味で「ちかつあふみ」(近淡海)、

    万葉集では「あふみのみ」(淡海の海)と呼ぶ。琵琶湖は大

    きいだけではない。古代湖で、50種類以上の固有生物が生

    息する。湿地の生態系保存のための「ラムサール条約」※に

    登録された、生物圏としても世界的に著名な湖である。滋賀

    県では琵琶湖を「Mother Lake 母なる湖」と呼んでいる。滋

    賀大学は、この豊かな自然「琵琶湖」を背景に、湖東彦根に

    経済学部を、大津石山に教育学部を擁して、3年後には大

    学設立70周年を迎えることになる。

     この100年近くの間に、日本は、そして世界は大きく変容

    を遂げた。18世紀が産業革命の世紀と呼ばれたのに対し

    て、20世紀は科学技術革命の世紀と称された。私たちはそ

    れぞれの革命の恩恵を受け、今に至っている。そうした変容

    の中で、大学は何を目指すのか。大学を取り巻く社会が変

    容する中で、大学はどうあるべきなのかが、いま問われてい

    る。長い伝統と優秀な教職員・学生を擁する滋賀大学も例

    外ではない。これまでの伝統を誇りにし、礎としつつも、いま

    私たちの置かれた社会の中で大学の新しい役割と責務を

    考えなければならない。学問には日々新しい展開がなけれ

    ば進歩はない。大学もまた毎年新しい学生諸君が入学し、

    新しく卒業生が社会に出ていく。そこに前進がなければ、大

    学の価値はない。大学とは、単に深い知識を得るところでは

    ないことは入学式で述べた。「考える場」である。今までにな

    い新しい考えを模索し、新しい解決を見出し、新しいものを

    発見・発明するところである。

     では、滋賀大学はどこに向かおうとしているのか。私たち

    はその答えを世に問おうとしている。その一端が、データサ

    イエンス学部であり、教職大学院(高度教職実践専攻)であ

    る。それらは、社会の動きや変化を、学問研究として、また教

    育として、大学が主体的に取り入れた構想である。今年度中

    にこれらの二つは文部科学省による審査が行われ、来年4

    月にはそれぞれ彦根と石山にその姿を見せ、活躍が始ま

    る。それは、既存の2学部にとっても、新しい可能性を開く

    ことである。教育学部と経済学部を縦軸に、データサイエ

    ンス学部を横軸にした逆Π(パイ)型の教育研究体制に

    より、これまでになかった主たる専門と副たる能力を兼ね

    備えたΓ(ガンマ)型人材の育成が、また学校教育の高度

    なプロフェッショナルの養成によりわが国の「人づくり」の根

    幹の強化が、目指される。

     その主役は在学生と新入生、そして将来滋賀大学に入学

    する学生たちである。学生諸君が、こうした構想を基盤に、

    自分たちの滋賀大学をどんな大学にしたいか、どんな大学

    であって欲しいか、を考えながら、「滋賀大学の未来」という

    壮大なドラマを創るのだ。

    特集4

    ※「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(1971年2月2日制定)

    教育学部 教育学部と滋賀県・市町教育委員会との連携       ―地域教育の発展・向上を目指して―

    経済学部 史料館の「企画展」のこと

  • 54

    特 集

     計測機器や技術の発展、そしてインターネットの普及などに

    伴い、あらゆる分野で多種多様で膨大なデータが収集されるよ

    うになってきました。今や経済社会のあらゆる領域において、情

    報機器やセンサーなどにより、音声や画像を含む様々な種類の

    データが日々刻々と生成され、その蓄積・集積が進んでいます。

    「ビッグデータ」という言葉を耳にしたことがある方も多いと思

    います。今日の社会では付加価値の多くがデータ利用によって

    生み出されているといっても過言ではありません。データを統

    計学、機械学習、人工知能の手法などを用いて分析すること

    で、画像や音声の自動認識が可能になるほか、表面上は見え

    ないような、世の中の動きやメカニズムを明らかにすることが

    できるようになります。

     ところが日本では、このようなビッグデータを処理、解析する

    ための素養を身に付けた人材(データサイエンティスト)が圧

    倒的に不足しています。その大きな原因は、日本にはデータ分

    析を系統立てて教育する学部、学科がこれまでに1つも存在し

    なかったことによるのです。現在のところ、データサイエンスに

    ついて深く学ぶには、理学部、工学部、経済学部などでこの分

    野を専門とする教員の研究室に所属する必要があり、どうして

    もその規模は小さくなってしまいます。欧米や中国には統計学

    部の存在など、データサイエンティストを多量に供給する体制

    がありますが、それでも、今日の情報通信技術の飛躍的進化

    や、データによる付加価値創造の国際競争の中で、人材が不足

    していると言われています。

     滋賀大学は、こうした社会的状況を踏まえ、2017年4月に

    データ分析の専門教育を行う「データサイエンス学部(仮称、

    文部科学省申請中)」を日本で初めて開設する予定です。新学

    部では、データを処理するためのソフトウェアの扱い方やプロ

    グラミング、そしてデータを解析するための数学的基礎から実

    際の解析手法までを学習します。数学やプログラミングについ

    ては、これまで苦手であったり経験が浅い人も対象にした科目

    を用意しています。それだけでなく、データを分析した結果を

    人に伝えるためのプレゼンテーション能力を培う講義もありま

    す。そして、実際の企業などで得られたデータを解析するPBL

    (Project-Based Learning)演習を通して、実際の現場にある「生

    きた」データを扱う経験を積むことができます。このように、学

    部1年生から体系立ててデータサイエンスを学ぶことができる

    ようなカリキュラムは他にありません。データサイエンス学部の

    教員は、統計科学や情報学を専門とする若い教員が多く、学生

    のみなさんと一緒にデータサイエンスを学び、実践することを

    楽しみにしています。また、さまざまなデータサイエンスの応用

    分野の招聘教員が所属し、環境、医療健康、防災、品質管理な

    どの分野のデータ分析を経験することができます。

     データサイエンスと聞くと理系のイメージが強いかもしれま

    せんが、その応用分野としては、ビジネスや教育など社会科学

    系の分野も多く、そのためには文系の知識も不可欠です。例え

    ば次ページの図に示すように、ビジネス分野における購買デー

    タの活用、医療健康分野における健康データの活用、教育分

    野における学習データの活用、環境分野における気象データ

    の活用などがあげられます。そのためデータサイエンス学部で

    は文系・理系を問わず広く意欲のある学生を募集します。

     現代社会におけるデータサイエンスの重要性が高まる中、

    データサイエンティストとしての素養や技術を持った人材は、

    政策・経営戦略の立案を始め、顧客満足度の把握、財務管理、

    商品開発といったビジネスや組織運営のさまざまな場面で

    需要が高く、最適な意思決定を支える人材として、官民すべて

    の現場での活躍がめざせます。また、諸科学・工学へのデータ

    サイエンスの適用は、今後いっそう重要性を増すことが予想さ

    れており、さまざまな科学研究・技術開発の現場で、データサイ

    データサイエンス教育研究センター長 竹村 彰通

    我が国初の「データサイエンス学部(申請中)」が誕生します

    通販サイトは、どうして自分の買いたい商品がわかるの?

    エンス・マインドを備えた技術者・研究者としての活躍が期待

    されています。このようにデータサイエンスを学ぶことにより

    様々な分野で活躍できます。卒業後の進路としては、経営コン

    サルティングや製薬、シンクタンクといった企業をはじめ、およそ

    データを扱うあらゆる企業・団体、国・地方自治体、そしてデー

    タを扱った起業などが考えられます。

     通販サイトを利用するたびに記録されていく、購買者の特徴や購買履歴情報。通販サイトは、こうした膨大な情報を分析して、あなたに合った商品を紹介しているのです。このように、ビジネス分野では今後ますます個人の購買データなどの活用が進んでいきます。

     電子カルテの普及により、容易に集積・共有できるようになった国民一人ひとりの受診データや健康診断データ。この医療ビッグデータを解析することで、個人に合わせた医療や薬の処方パターンを提案できるようになると期待されています。

     タブレットなどの電子教材の魅力は、日々の学習データの収集が容易に行えること。このような毎日の学習内容やテスト結果のデータを分析すれば、教員、保護者、子どもの3者が、個人にあった学習方法や学習時間を理解でき、成績アップにつながっていくでしょう。

     気象庁や気象予報会社が何十年も積み重ね、未だ改善が続けられている観測データと高性能シミュレーションによる分析結果。そのすべてを集約したビッグデータを分析し、積乱雲の動きを瞬時につかむことで、ゲリラ豪雨のより的確な予報が可能になっていくでしょう。

    ビジネス分野Business

    電子カルテは、どのように役立つの?

    医療健康分野Healthcare

    電子教材を使うと成績向上につながるの?

    教育分野Education

    30分先のゲリラ豪雨は予測できるようになるの?

    環境分野Environment

    54

    特 集

     計測機器や技術の発展、そしてインターネットの普及などに

    伴い、あらゆる分野で多種多様で膨大なデータが収集されるよ

    うになってきました。今や経済社会のあらゆる領域において、情

    報機器やセンサーなどにより、音声や画像を含む様々な種類の

    データが日々刻々と生成され、その蓄積・集積が進んでいます。

    「ビッグデータ」という言葉を耳にしたことがある方も多いと思

    います。今日の社会では付加価値の多くがデータ利用によって

    生み出されているといっても過言ではありません。データを統

    計学、機械学習、人工知能の手法などを用いて分析すること

    で、画像や音声の自動認識が可能になるほか、表面上は見え

    ないような、世の中の動きやメカニズムを明らかにすることが

    できるようになります。

     ところが日本では、このようなビッグデータを処理、解析する

    ための素養を身に付けた人材(データサイエンティスト)が圧

    倒的に不足しています。その大きな原因は、日本にはデータ分

    析を系統立てて教育する学部、学科がこれまでに1つも存在し

    なかったことによるのです。現在のところ、データサイエンスに

    ついて深く学ぶには、理学部、工学部、経済学部などでこの分

    野を専門とする教員の研究室に所属する必要があり、どうして

    もその規模は小さくなってしまいます。欧米や中国には統計学

    部の存在など、データサイエンティストを多量に供給する体制

    がありますが、それでも、今日の情報通信技術の飛躍的進化

    や、データによる付加価値創造の国際競争の中で、人材が不足

    していると言われています。

     滋賀大学は、こうした社会的状況を踏まえ、2017年4月に

    データ分析の専門教育を行う「データサイエンス学部(仮称、

    文部科学省申請中)」を日本で初めて開設する予定です。新学

    部では、データを処理するためのソフトウェアの扱い方やプロ

    グラミング、そしてデータを解析するための数学的基礎から実

    際の解析手法までを学習します。数学やプログラミングについ

    ては、これまで苦手であったり経験が浅い人も対象にした科目

    を用意しています。それだけでなく、データを分析した結果を

    人に伝えるためのプレゼンテーション能力を培う講義もありま

    す。そして、実際の企業などで得られたデータを解析するPBL

    (Project-Based Learning)演習を通して、実際の現場にある「生

    きた」データを扱う経験を積むことができます。このように、学

    部1年生から体系立ててデータサイエンスを学ぶことができる

    ようなカリキュラムは他にありません。データサイエンス学部の

    教員は、統計科学や情報学を専門とする若い教員が多く、学生

    のみなさんと一緒にデータサイエンスを学び、実践することを

    楽しみにしています。また、さまざまなデータサイエンスの応用

    分野の招聘教員が所属し、環境、医療健康、防災、品質管理な

    どの分野のデータ分析を経験することができます。

     データサイエンスと聞くと理系のイメージが強いかもしれま

    せんが、その応用分野としては、ビジネスや教育など社会科学

    系の分野も多く、そのためには文系の知識も不可欠です。例え

    ば次ページの図に示すように、ビジネス分野における購買デー

    タの活用、医療健康分野における健康データの活用、教育分

    野における学習データの活用、環境分野における気象データ

    の活用などがあげられます。そのためデータサイエンス学部で

    は文系・理系を問わず広く意欲のある学生を募集します。

     現代社会におけるデータサイエンスの重要性が高まる中、

    データサイエンティストとしての素養や技術を持った人材は、

    政策・経営戦略の立案を始め、顧客満足度の把握、財務管理、

    商品開発といったビジネスや組織運営のさまざまな場面で

    需要が高く、最適な意思決定を支える人材として、官民すべて

    の現場での活躍がめざせます。また、諸科学・工学へのデータ

    サイエンスの適用は、今後いっそう重要性を増すことが予想さ

    れており、さまざまな科学研究・技術開発の現場で、データサイ

    データサイエンス教育研究センター長 竹村 彰通

    我が国初の「データサイエンス学部(申請中)」が誕生します

    通販サイトは、どうして自分の買いたい商品がわかるの?

    エンス・マインドを備えた技術者・研究者としての活躍が期待

    されています。このようにデータサイエンスを学ぶことにより

    様々な分野で活躍できます。卒業後の進路としては、経営コン

    サルティングや製薬、シンクタンクといった企業をはじめ、およそ

    データを扱うあらゆる企業・団体、国・地方自治体、そしてデー

    タを扱った起業などが考えられます。

     通販サイトを利用するたびに記録されていく、購買者の特徴や購買履歴情報。通販サイトは、こうした膨大な情報を分析して、あなたに合った商品を紹介しているのです。このように、ビジネス分野では今後ますます個人の購買データなどの活用が進んでいきます。

     電子カルテの普及により、容易に集積・共有できるようになった国民一人ひとりの受診データや健康診断データ。この医療ビッグデータを解析することで、個人に合わせた医療や薬の処方パターンを提案できるようになると期待されています。

     タブレットなどの電子教材の魅力は、日々の学習データの収集が容易に行えること。このような毎日の学習内容やテスト結果のデータを分析すれば、教員、保護者、子どもの3者が、個人にあった学習方法や学習時間を理解でき、成績アップにつながっていくでしょう。

     気象庁や気象予報会社が何十年も積み重ね、未だ改善が続けられている観測データと高性能シミュレーションによる分析結果。そのすべてを集約したビッグデータを分析し、積乱雲の動きを瞬時につかむことで、ゲリラ豪雨のより的確な予報が可能になっていくでしょう。

    ビジネス分野Business

    電子カルテは、どのように役立つの?

    医療健康分野Healthcare

    電子教材を使うと成績向上につながるの?

    教育分野Education

    30分先のゲリラ豪雨は予測できるようになるの?

    環境分野Environment

  •  2015年9月7日、教育学部と滋賀県教育委員会は『滋賀大学教

    育学部と滋賀県教育委員会の連携に関する協定』を締結しまし

    た。具体的な連携事項は、以下の4点です。

     (1)地域の教育の向上に関すること。

     (2)教員の資質および能力の向上に関すること。

     (3)地域の教員養成に関すること。

     (4)その他、地域の教育課題に関すること。

     同時に、大津市・近江八幡市・彦根市との連携協定、及び草津

    市・栗東市・守山市との連携覚書も締結し、教育学部は文字通り

    「地域密接型」の学部として、地域の教育の充実・発展とそれを担

    う人材の育成に寄与することを自らの役割として明確に位置づ

    けました。

     この協定・覚書締結に至るまでにも、本学部は滋賀県及び県

    内市町教育委員会との間に幅広く連携・協力関係を築いてきま

    した。県教育委員会の協力の下に高大連携事業の一環として開

    催してきた高校生対象の連続講座や「未来の教師塾」「教職セミ

    ナー」「教職探究フォーラム」といった一連の教職探究講座は、高

    校生が大学進学のイメージをリアルに体験するとともに、本学部

    の特色や教職に対する理解を深める貴重な機会となっていま

    す。さらに、県教育委員会主催の「滋賀の教師塾」における連携、

    滋賀県総合教育センターとの連携・協力等々、従来から密接な協

    力関係のもとに様々な事業を展開しています。この連携・協力関

    係を強化し、地域の教育の向上に向けてより具体的な提言を行

    うところまでを目指したいと考えるに至ったことが今回の協定締

    結につながったのです。

     本学部は自らの役割を定義するいわゆる「ミッションの再定

    義」において、「滋賀県教育委員会等との連携により、地域密接型

    を目指す大学として、義務教育諸学校に関する地域の教員養成

    機能の中心的役割を担うとともに、滋賀県における教育研究や

    社会貢献等を通じて我が国の教育の発展・向上に寄与すること

    を基本的な目標とする」と宣言しました。これを宣言だけに終わ

    らせずに具体的に実現していくには、まずその体制を整えること

    が必要でした。

     そこで、滋賀県の教育の向上を目指すという思いを一(いつ)

    にして、そのための体制づくりを目指して滋賀県教育委員会との

    間で協議を重ね、連携協定締結に先駆けて「滋賀大学教育学部・

    滋賀県教育委員会地域教育連携推進会議」(以下、「連携推進会

    議」)を設置し、連携事項に係る協議を進め、方策を提言していく

    こととなりました。

     とりわけ、本学部が滋賀県教育委員会との連携・協働を深め

    て、教職大学院の設置を中心とした大学院改革を行い、現職教

    員を対象としたスクールリーダーの養成と、学校づくりの有力な

    一員となり得る新人教員の養成を行っていくことは、できる限り

    早い時期に実現すべき喫緊の課題でした。

     滋賀県は「第2期教育振興基本計画」(平成26年3月策定)の中

    で、「子どものたくましく生きる力を育む」「子どもの育ちを支える

    環境をつくる」「すべての人が共に育ち、社会を創る生涯学習を

    振興する」を三本柱とし、具体的な教育施策を掲げています。子

    どもの生きる力の育成においては「確かな学力」「豊かな心」「健

    やかな体」「滋賀の自然や地域と共生する力」を育むことが目標

    とされ、子どもの育ちを支える環境づくりとしては「信頼される学

    校づくり」や「教員の教育力の向上」などが目標とされています。

    なかでも地域の教員養成機能の中心的役割を果たすべき本学

    部にとって最も重視すべきは、学校教員の教育力の向上である

    ことはいうまでもありません。教員全体の教育力を高めるために

    は、先輩教員から若手教員への円滑な知識・技能の伝達、及び学

    校や地域の教育資源を効果的に活かすことのできる指導的教員

    の育成が急務であり、このことについての本学部と県教育委員

    会双方の一致した認識が、教職大学院設置の理念へとつながっ

    ていきました。

     本学教育学研究科の新専攻「高度教職実践専攻」(教職大学

    院)は、こうした地域からの熱い期待の下、平成29年4月開設を目

    指して着々と準備が進められています。設置の目的は、新たな教

    育実践を創成し学校内外でそれをリードできるスクールリーダー

    の養成と、社会の急速な進展の中で必要な知識・技能を絶え間な

    く刷新しつつ教職生活全体を通じて「学び続ける」教員の育成・支

    援の大きく2つです。この目的のために、「高度教職実践専攻」に

    は、スクールリーダーの養成を目的とし、現職教員学生が学ぶ「学

    校経営力開発コース」と、授業力・学級経営力・課題対応力等の実

    践力の向上を目指して現職教員学生と学部新卒学生が共に学ぶ

    「教育実践力開発コース」の2コースが設置されます。

     教職大学院については、設置の理念構築の段階から具体的な

    カリキュラム編成や組織体制の整備に至る全プロセスにおい

    て、県教育委員会と何度も協議を重ねてきました。地域の多様な

    教育課題に的確に対応できる力量ある教員を持続的に育成して

    いくために、設置後の運営体制においても県・市町教育委員会

    や関係機関との協議が重視されています。

     「連携推進会議」の下には必要に応じ専門委員会を置くことと

    なっており、現在は、上述の教職大学院設置準備委員会の他に、

    学ぶ力向上専門委員会、英語教育専門委員会、インクルーシブ教

    育専門委員会、いじめ不登校専門委員会の4つの委員会を設置

    しています。いずれも現在の滋賀の教育における最重要課題であ

    り、テーマごとに本学部教員と県教育委員会の担当者による委員

    会を構成し、課題解決に向けての検討・研究を進めています。

     本学教育学部は、このように県・市町教育委員会並びに関係

    教育機関との連携・協力関係をより密接で具体的なものとするこ

    とにより、実践的指導力をもつ力量ある教員を養成し、地域の教

    育力の向上に貢献していく決意を新たにしています。

    6

    滋 賀 大 学滋 賀 大 学 い まい まのの

    教育学部と滋賀県・市町教育委員会との連携―地域教育の発展・向上を目指して―

    滋賀大学教育学部 杉江 淑子

    地域の教育課題に取組む専門委員会

    連携協定・覚書の締結

    地域に根ざす教育学部

    7

    県及び6市との連携協定・連携覚書調印式(2015.9.7)

    スクールリーダー・学び続ける教員の養成       ――教職大学院の設置

    学ぶ力向上専門委員会 県の「学ぶ力」向上にかかる課題について協議し、関連資料の分

    析等を行うことによって、《学ぶ力向上滋賀プラン》をより実効性の

    あるものとすることを目指しています。「教師の取組が変わると子ど

    もの姿が変わる。それにより、教師も変わる」という理念に基づき、

    「子どもの学ぶ力」と「教師の指導力」の相互の関連を見据えた取

    組について提言します。

    英語教育専門委員会 県が取組む「小中高系統的

    英語教育推進事業」及び「英

    語教員スキルアップ事業」に

    関わって、授業改善や教員の

    指導力向上、小学校教員の英

    語力向上を目指し、実践や評

    価のあり方及び連携体制の整備について協議を進めてきました。

    小学校教員を対象とする「中学校教員・英語2種免許状」認定講習

    の実施など、具体的な施策における連携を強化していきます。

    インクルーシブ教育専門委員会 ユニバーサルデザインの視点を取り入れた授業づくりの方策に

    ついて研究を進めるとともに、その方策を身につけ、効果的な支援

    を行うことのできる教員を育成するための教員研修のあり方等に

    ついて協議を行っています。

    いじめ不登校専門委員会 不登校児童・生徒を減らすための方策やいじめをなくす学校

    づくりに向けての調査・研究について協議してきました。2015年

    11月には本委員会が主体となって、イギリスのシェフィールド・ハ

    ラム大学からマーク・ヒートン氏を迎え、同大学が地域と連携して

    進めてきた「いじめ防止教育プロジェクト」の紹介を含めた教育

    研究フォーラムを開催しました。

    教育研究フォーラム「変わる英語教育」

    教育研究フォーラム「イギリスにおける学校での《いじめ》の理解と対策」

     2015年9月7日、教育学部と滋賀県教育委員会は『滋賀大学教

    育学部と滋賀県教育委員会の連携に関する協定』を締結しまし

    た。具体的な連携事項は、以下の4点です。

     (1)地域の教育の向上に関すること。

     (2)教員の資質および能力の向上に関すること。

     (3)地域の教員養成に関すること。

     (4)その他、地域の教育課題に関すること。

     同時に、大津市・近江八幡市・彦根市との連携協定、及び草津

    市・栗東市・守山市との連携覚書も締結し、教育学部は文字通り

    「地域密接型」の学部として、地域の教育の充実・発展とそれを担

    う人材の育成に寄与することを自らの役割として明確に位置づ

    けました。

     この協定・覚書締結に至るまでにも、本学部は滋賀県及び県

    内市町教育委員会との間に幅広く連携・協力関係を築いてきま

    した。県教育委員会の協力の下に高大連携事業の一環として開

    催してきた高校生対象の連続講座や「未来の教師塾」「教職セミ

    ナー」「教職探究フォーラム」といった一連の教職探究講座は、高

    校生が大学進学のイメージをリアルに体験するとともに、本学部

    の特色や教職に対する理解を深める貴重な機会となっていま

    す。さらに、県教育委員会主催の「滋賀の教師塾」における連携、

    滋賀県総合教育センターとの連携・協力等々、従来から密接な協

    力関係のもとに様々な事業を展開しています。この連携・協力関

    係を強化し、地域の教育の向上に向けてより具体的な提言を行

    うところまでを目指したいと考えるに至ったことが今回の協定締

    結につながったのです。

     本学部は自らの役割を定義するいわゆる「ミッションの再定

    義」において、「滋賀県教育委員会等との連携により、地域密接型

    を目指す大学として、義務教育諸学校に関する地域の教員養成

    機能の中心的役割を担うとともに、滋賀県における教育研究や

    社会貢献等を通じて我が国の教育の発展・向上に寄与すること

    を基本的な目標とする」と宣言しました。これを宣言だけに終わ

    らせずに具体的に実現していくには、まずその体制を整えること

    が必要でした。

     そこで、滋賀県の教育の向上を目指すという思いを一(いつ)

    にして、そのための体制づくりを目指して滋賀県教育委員会との

    間で協議を重ね、連携協定締結に先駆けて「滋賀大学教育学部・

    滋賀県教育委員会地域教育連携推進会議」(以下、「連携推進会

    議」)を設置し、連携事項に係る協議を進め、方策を提言していく

    こととなりました。

     とりわけ、本学部が滋賀県教育委員会との連携・協働を深め

    て、教職大学院の設置を中心とした大学院改革を行い、現職教

    員を対象としたスクールリーダーの養成と、学校づくりの有力な

    一員となり得る新人教員の養成を行っていくことは、できる限り

    早い時期に実現すべき喫緊の課題でした。

     滋賀県は「第2期教育振興基本計画」(平成26年3月策定)の中

    で、「子どものたくましく生きる力を育む」「子どもの育ちを支える

    環境をつくる」「すべての人が共に育ち、社会を創る生涯学習を

    振興する」を三本柱とし、具体的な教育施策を掲げています。子

    どもの生きる力の育成においては「確かな学力」「豊かな心」「健

    やかな体」「滋賀の自然や地域と共生する力」を育むことが目標

    とされ、子どもの育ちを支える環境づくりとしては「信頼される学

    校づくり」や「教員の教育力の向上」などが目標とされています。

    なかでも地域の教員養成機能の中心的役割を果たすべき本学

    部にとって最も重視すべきは、学校教員の教育力の向上である

    ことはいうまでもありません。教員全体の教育力を高めるために

    は、先輩教員から若手教員への円滑な知識・技能の伝達、及び学

    校や地域の教育資源を効果的に活かすことのできる指導的教員

    の育成が急務であり、このことについての本学部と県教育委員

    会双方の一致した認識が、教職大学院設置の理念へとつながっ

    ていきました。

     本学教育学研究科の新専攻「高度教職実践専攻」(教職大学

    院)は、こうした地域からの熱い期待の下、平成29年4月開設を目

    指して着々と準備が進められています。設置の目的は、新たな教

    育実践を創成し学校内外でそれをリードできるスクールリーダー

    の養成と、社会の急速な進展の中で必要な知識・技能を絶え間な

    く刷新しつつ教職生活全体を通じて「学び続ける」教員の育成・支

    援の大きく2つです。この目的のために、「高度教職実践専攻」に

    は、スクールリーダーの養成を目的とし、現職教員学生が学ぶ「学

    校経営力開発コース」と、授業力・学級経営力・課題対応力等の実

    践力の向上を目指して現職教員学生と学部新卒学生が共に学ぶ

    「教育実践力開発コース」の2コースが設置されます。

     教職大学院については、設置の理念構築の段階から具体的な

    カリキュラム編成や組織体制の整備に至る全プロセスにおい

    て、県教育委員会と何度も協議を重ねてきました。地域の多様な

    教育課題に的確に対応できる力量ある教員を持続的に育成して

    いくために、設置後の運営体制においても県・市町教育委員会

    や関係機関との協議が重視されています。

     「連携推進会議」の下には必要に応じ専門委員会を置くことと

    なっており、現在は、上述の教職大学院設置準備委員会の他に、

    学ぶ力向上専門委員会、英語教育専門委員会、インクルーシブ教

    育専門委員会、いじめ不登校専門委員会の4つの委員会を設置

    しています。いずれも現在の滋賀の教育における最重要課題であ

    り、テーマごとに本学部教員と県教育委員会の担当者による委員

    会を構成し、課題解決に向けての検討・研究を進めています。

     本学教育学部は、このように県・市町教育委員会並びに関係

    教育機関との連携・協力関係をより密接で具体的なものとするこ

    とにより、実践的指導力をもつ力量ある教員を養成し、地域の教

    育力の向上に貢献していく決意を新たにしています。

    6

    滋 賀 大 学滋 賀 大 学 い まい まのの

    教育学部と滋賀県・市町教育委員会との連携―地域教育の発展・向上を目指して―

    滋賀大学教育学部 杉江 淑子

    地域の教育課題に取組む専門委員会

    連携協定・覚書の締結

    地域に根ざす教育学部

    7

    県及び6市との連携協定・連携覚書調印式(2015.9.7)

    スクールリーダー・学び続ける教員の養成       ――教職大学院の設置

    学ぶ力向上専門委員会 県の「学ぶ力」向上にかかる課題について協議し、関連資料の分

    析等を行うことによって、《学ぶ力向上滋賀プラン》をより実効性の

    あるものとすることを目指しています。「教師の取組が変わると子ど

    もの姿が変わる。それにより、教師も変わる」という理念に基づき、

    「子どもの学ぶ力」と「教師の指導力」の相互の関連を見据えた取

    組について提言します。

    英語教育専門委員会 県が取組む「小中高系統的

    英語教育推進事業」及び「英

    語教員スキルアップ事業」に

    関わって、授業改善や教員の

    指導力向上、小学校教員の英

    語力向上を目指し、実践や評

    価のあり方及び連携体制の整備について協議を進めてきました。

    小学校教員を対象とする「中学校教員・英語2種免許状」認定講習

    の実施など、具体的な施策における連携を強化していきます。

    インクルーシブ教育専門委員会 ユニバーサルデザインの視点を取り入れた授業づくりの方策に

    ついて研究を進めるとともに、その方策を身につけ、効果的な支援

    を行うことのできる教員を育成するための教員研修のあり方等に

    ついて協議を行っています。

    いじめ不登校専門委員会 不登校児童・生徒を減らすための方策やいじめをなくす学校

    づくりに向けての調査・研究について協議してきました。2015年

    11月には本委員会が主体となって、イギリスのシェフィールド・ハ

    ラム大学からマーク・ヒートン氏を迎え、同大学が地域と連携して

    進めてきた「いじめ防止教育プロジェクト」の紹介を含めた教育

    研究フォーラムを開催しました。

    教育研究フォーラム「変わる英語教育」

    教育研究フォーラム「イギリスにおける学校での《いじめ》の理解と対策」

  • 史料館の「企画展」のこと経済学部附属史料館長 青柳 周一

    8 9

    滋 賀 大 学滋 賀 大 学 い まい まのの

     経済学部附属史料館では、県内各地に伝来した古文書をはじ

    めとする歴史資料の保存・公開と研究を行っています。史料館が

    現在収蔵している古文書は、約17万6,000点に達します。

     歴史資料は、地域の記憶と記録が刻み込まれた貴重な遺産で

    あり、所蔵者の方々が現在まで大切に守り伝えてきたものです。

    だからこそ、研究者や大学だけで独占するのではなく、広く人び

    との間で共有されなければなりません。そこで史料館では、収蔵

    する歴史資料を万全な体制で保存すると共に、原則的に全て一

    般公開しています。公開の方法は、史料館2階の閲覧室で歴史資

    料を手に取って、閲覧していただくことが中心ですが、展示活動

    を通じた公開にも力を入れています。

     史料館は1階が展示室になっています。展示には、水~金曜の

    開館時間中に見学していただける常設展(近江商人の商業用具

    や古文書、また近江

    の村々での生活用

    具・農具などを展

    示)と、毎年春と秋

    に1ケ月ほどの期間

    で、毎回テーマを変

    えて開催する企画

    展とがあります。こ

    こでは、最近の企画

    展をいくつかご紹

    介しましょう。

     史料館での事業の大きな柱の一つとして、近江商人および近江

    系企業に関する歴史資料の調査・研究と公開があります。近年の

    主な調査・研究対象の一つであったのが、伊藤忠商事株式会社と

    丸紅株式会社の創業家に伝わった「伊藤忠兵衛家文書」でした。

     伊藤忠兵衛家文書は、平成15年夏に豊郷町の伊藤忠兵衛家

    旧宅(現伊藤忠兵衛記念館)で発見されました。史料館では、伊

    藤家のご高配を得てこれをお預かりし、翌年から1点ずつ整理

    してデータを取り、仮目録を作成するといった作業に取りかかり

    ました。そして25年春、ようやくその総数が約5万点に達するこ

    とが判明しました。かなり大規模な史料群であり、全点を一般公

    開できるまでにはもうしばらく時間が必要です。

     こうした作業の中間報告として、史料公開のために開催したの

    が、平成20年企画展「地商いから商社へ―伊藤長兵衛家・忠兵

    衛家文書にみる―」と、この26年度企画展です。企画担当者は共

    に経済学部の宇佐美英機先生(当時は史料館長)でした。26年

    度企画展では、伊藤忠兵衛家文書14点と共に、平成22年に伊藤

    忠商事と丸紅よりお預かりした企業史資料も合わせて展示しま

    したが、これらも目下史料館で目録を作成中です。

     秋季企画展では、毎回関連講演会を開催しています。この時

    の講師は、宇佐美先生に加

    えて、丸紅(株)農産ユニット

    ディレクター・農産部長である

    近藤孔明氏と、伊藤忠商事

    OBで(株)スーパーレックス

    取締役副社長の松林彰次郎

    氏でした(役職名は当時のも

    の)。講演会には企画展を共

    催した市場史研究会の方々

    も参加され、多くの来聴者で

    にぎわいました。

     

     史料館事業のもう一つの柱として、重要文化財「菅浦文書」の

    調査・研究があります。史料館では平成24年度以来、科研費(基

    盤研究B)「中・近世「菅浦文書」の総合的調査・公開と共同研究

    ―中・近世村落像の再検討」による菅浦文書の共同研究を行っ

    てきました。(今年度より基盤研究Aとして継続中)

     共同研究のメンバーは、代表の青柳と、研究分担者である

    宇佐美先生、本学教育学部の宇佐見隆之先生、さらに滋賀県

    立大学の水野章二先生・東幸代先生、琵琶湖博物館学芸員の

    橋本道範氏です。それに協力者として史料館職員と、京都大学

    院生や滋賀県立大院生(当時)にも加わってもらいました。27

    年度の春・秋の展示は、この共同研究の成果公表の一環とし

    て計画したものです。あわせて、史料館棟が竣工して20周年を

    迎えることも記念していました。

     春季展示は、江戸時代の菅浦村で作成され、保管されていた

    史料群である「菅浦共有文書(近世分)」によって構成しました。

    菅浦は中世惣村としてのイメージが非常に強い(中学・高校の日

    本史の教科書にも出てきます)こともあって、「江戸時代の菅浦

    村の展示は珍しい」と、菅浦在住の方がわざわざ観覧に来てくだ

    さいました。企画担当者として、これは嬉しいことでした。

     秋の特別展では、中世の菅浦の歴史に正面から取り組みまし

    た。実際の展示では、「菅浦の生活空間と生業」、「菅浦と浅井

    氏」、「菅浦文書の花押と略押」、「湖(うみ)と山の権利をめぐっ

    て」という4つのコーナーを設けましたが、これは共同研究メン

    バーとの議論を経て決定したものです。さらに展示する史料21

    点の選定から、展示史料の解

    読文の校訂、展示図録や展示

    史料の説明用キャプションの

    原稿執筆などといった一連の

    準備作業も、全てメンバーで

    分担しました。

     関連講演会の講師は、長年

    菅浦文書研究に携わってこら

    れた長浜市長浜城歴史博物館

    長の太田浩司氏にお願いしま

    した。この時には、共同研究メ

    ンバーをパネラーとするシンポジウムも実施しました。来聴者数

    は116人で、史料館の講演会では過去最多の人数でした。

     春季展示は『しがだい』の表紙も飾っている琉球貿易図屏風を

    中心に据えて、「琉球貿易図屏風と琉球使節の「江戸上り」」とい

    うテーマで、5月16日~6月10日に開催しました(表紙の解説が

    19ページにありますので、ご参照ください)。ご観覧いただいた

    方々に、改めてお礼申し上げます。

     また、今年は東日本大震災から5年目という節目の年に当たり

    ます。そこで秋の企画展では、東北地方での近江商人の活動に

    関する史料を展示して、東北地方と滋賀県との歴史的なつなが

    りを考える予定です。これからも、さまざまな種類の、多彩な内容

    を持つ歴史資料の公開を進めるために、展示企画を考案して参

    ります。ぜひ史料館の企画展へ足をお運びください!

    企画展のギャラリートークの様子(23年度企画展「江戸時代の近江を旅する」)

    26年度企画展図録(表紙)

    27年度企画展図録(表紙)

    26年度企画展「伊藤忠兵衛家・長兵衛家同族事業経営の沿革」

    27年度シンポジウムの様子

    27年度特別展「重要文化財菅浦文書を読む」

    今年の企画展について

    平成26年度企画展「総合研究棟〈士魂商才館〉開館記念伊藤忠兵衛家・長兵衛家同族事業経営の沿革~地商いから商社へ その2~」

    平成27年度春季展示「江戸時代の村に生きる―菅浦共有文書から」および特別展「重要文化財菅浦文書を読み解く」

    史料館の「企画展」のこと経済学部附属史料館長 青柳 周一

    8 9

    滋 賀 大 学滋 賀 大 学 い まい まのの

     経済学部附属史料館では、県内各地に伝来した古文書をはじ

    めとする歴史資料の保存・公開と研究を行っています。史料館が

    現在収蔵している古文書は、約17万6,000点に達します。

     歴史資料は、地域の記憶と記録が刻み込まれた貴重な遺産で

    あり、所蔵者の方々が現在まで大切に守り伝えてきたものです。

    だからこそ、研究者や大学だけで独占するのではなく、広く人び

    との間で共有されなければなりません。そこで史料館では、収蔵

    する歴史資料を万全な体制で保存すると共に、原則的に全て一

    般公開しています。公開の方法は、史料館2階の閲覧室で歴史資

    料を手に取って、閲覧していただくことが中心ですが、展示活動

    を通じた公開にも力を入れています。

     史料館は1階が展示室になっています。展示には、水~金曜の

    開館時間中に見学していただける常設展(近江商人の商業用具

    や古文書、また近江

    の村々での生活用

    具・農具などを展

    示)と、毎年春と秋

    に1ケ月ほどの期間

    で、毎回テーマを変

    えて開催する企画

    展とがあります。こ

    こでは、最近の企画

    展をいくつかご紹

    介しましょう。

     史料館での事業の大きな柱の一つとして、近江商人および近江

    系企業に関する歴史資料の調査・研究と公開があります。近年の

    主な調査・研究対象の一つであったのが、伊藤忠商事株式会社と

    丸紅株式会社の創業家に伝わった「伊藤忠兵衛家文書」でした。

     伊藤忠兵衛家文書は、平成15年夏に豊郷町の伊藤忠兵衛家

    旧宅(現伊藤忠兵衛記念館)で発見されました。史料館では、伊

    藤家のご高配を得てこれをお預かりし、翌年から1点ずつ整理

    してデータを取り、仮目録を作成するといった作業に取りかかり

    ました。そして25年春、ようやくその総数が約5万点に達するこ

    とが判明しました。かなり大規模な史料群であり、全点を一般公

    開できるまでにはもうしばらく時間が必要です。

     こうした作業の中間報告として、史料公開のために開催したの

    が、平成20年企画展「地商いから商社へ―伊藤長兵衛家・忠兵

    衛家文書にみる―」と、この26年度企画展です。企画担当者は共

    に経済学部の宇佐美英機先生(当時は史料館長)でした。26年

    度企画展では、伊藤忠兵衛家文書14点と共に、平成22年に伊藤

    忠商事と丸紅よりお預かりした企業史資料も合わせて展示しま

    したが、これらも目下史料館で目録を作成中です。

     秋季企画展では、毎回関連講演会を開催しています。この時

    の講師は、宇佐美先生に加

    えて、丸紅(株)農産ユニット

    ディレクター・農産部長である

    近藤孔明氏と、伊藤忠商事

    OBで(株)スーパーレックス

    取締役副社長の松林彰次郎

    氏でした(役職名は当時のも

    の)。講演会には企画展を共

    催した市場史研究会の方々

    も参加され、多くの来聴者で

    にぎわいました。

     

     史料館事業のもう一つの柱として、重要文化財「菅浦文書」の

    調査・研究があります。史料館では平成24年度以来、科研費(基

    盤研究B)「中・近世「菅浦文書」の総合的調査・公開と共同研究

    ―中・近世村落像の再検討」による菅浦文書の共同研究を行っ

    てきました。(今年度より基盤研究Aとして継続中)

     共同研究のメンバーは、代表の青柳と、研究分担者である

    宇佐美先生、本学教育学部の宇佐見隆之先生、さらに滋賀県

    立大学の水野章二先生・東幸代先生、琵琶湖博物館学芸員の

    橋本道範氏です。それに協力者として史料館職員と、京都大学

    院生や滋賀県立大院生(当時)にも加わってもらいました。27

    年度の春・秋の展示は、この共同研究の成果公表の一環とし

    て計画したものです。あわせて、史料館棟が竣工して20周年を

    迎えることも記念していました。

     春季展示は、江戸時代の菅浦村で作成され、保管されていた

    史料群である「菅浦共有文書(近世分)」によって構成しました。

    菅浦は中世惣村としてのイメージが非常に強い(中学・高校の日

    本史の教科書にも出てきます)こともあって、「江戸時代の菅浦

    村の展示は珍しい」と、菅浦在住の方がわざわざ観覧に来てくだ

    さいました。企画担当者として、これは嬉しいことでした。

     秋の特別展では、中世の菅浦の歴史に正面から取り組みまし

    た。実際の展示では、「菅浦の生活空間と生業」、「菅浦と浅井

    氏」、「菅浦文書の花押と略押」、「湖(うみ)と山の権利をめぐっ

    て」という4つのコーナーを設けましたが、これは共同研究メン

    バーとの議論を経て決定したものです。さらに展示する史料21

    点の選定から、展示史料の解

    読文の校訂、展示図録や展示

    史料の説明用キャプションの

    原稿執筆などといった一連の

    準備作業も、全てメンバーで

    分担しました。

     関連講演会の講師は、長年

    菅浦文書研究に携わってこら

    れた長浜市長浜城歴史博物館

    長の太田浩司氏にお願いしま

    した。この時には、共同研究メ

    ンバーをパネラーとするシンポジウムも実施しました。来聴者数

    は116人で、史料館の講演会では過去最多の人数でした。

     春季展示は『しがだい』の表紙も飾っている琉球貿易図屏風を

    中心に据えて、「琉球貿易図屏風と琉球使節の「江戸上り」」とい

    うテーマで、5月16日~6月10日に開催しました(表紙の解説が

    19ページにありますので、ご参照ください)。ご観覧いただいた

    方々に、改めてお礼申し上げます。

     また、今年は東日本大震災から5年目という節目の年に当たり

    ます。そこで秋の企画展では、東北地方での近江商人の活動に

    関する史料を展示して、東北地方と滋賀県との歴史的なつなが

    りを考える予定です。これからも、さまざまな種類の、多彩な内容

    を持つ歴史資料の公開を進めるために、展示企画を考案して参

    ります。ぜひ史料館の企画展へ足をお運びください!

    企画展のギャラリートークの様子(23年度企画展「江戸時代の近江を旅する」)

    26年度企画展図録(表紙)

    27年度企画展図録(表紙)

    26年度企画展「伊藤忠兵衛家・長兵衛家同族事業経営の沿革」

    27年度シンポジウムの様子

    27年度特別展「重要文化財菅浦文書を読む」

    今年の企画展について

    平成26年度企画展「総合研究棟〈士魂商才館〉開館記念伊藤忠兵衛家・長兵衛家同族事業経営の沿革~地商いから商社へ その2~」

    平成27年度春季展示「江戸時代の村に生きる―菅浦共有文書から」および特別展「重要文化財菅浦文書を読み解く」

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    これまでの人生で最も頑張った就職活動電力の供給に関わる仕事で暮らしや企業を支えたい

    ボランティアを通して子どもたちと心を通わせた大学時代何事にも臆せずぶつかって、貪欲にやりきる

    ■ 教師をめざして滋賀大へ

     いつも優しくてニコニコしていた幼稚園の先生が大好きで、ずっと幼稚園の先生になりたいと思っていました。「教師をめざすなら滋賀大がいいよ」という担任の勧めもあり、滋賀大へ進学。教育実習で子どもたちと触れ合う中で、小学校の教師もいいなと思うようになりました。「滋賀大はアットホームな大学」と聞いていましたが、オープンキャンパスに行き、ゼミの催しを見学した際、少人数で先生と学生さんがとても仲が良く、この大学だったら自分がやりたいことができるかも……と感じたことを覚えています。

    ■ ボランティアに明け暮れた大学時代

     大学時代には、毎年、滋賀県文化振興事業団が募集している「希望ケ丘キャンプリーダー」として、滋賀県内の小学4年生~6年生が参加する野外活動でボランティアをしていました。7泊8日のキャンプの間、グループの子どもたちと家族のように過ごしたことは忘れられません。特に、ずっと「うちに帰りたい」と泣いてばかりいた子が、最終日に「帰りたくない。わさび(講習会でのニックネーム)もみんなも家族やからずっと一緒にいたい」と大泣きして、私達のグ

    ループだけ最後まで残っていたことは、とても印象に残っています。 また、希望ケ丘での施設利用者に対する講習会では、講師として1,000人もの参加者を前に説明するという経験をしたおかげで、引っ込み思案を克服することができましたし、他大学との交流を深めるきっかけにもなりました。 また、大学でも「石山っこ」という親子活動を支えるボランティアをしていました。教育学部構内の畑で栽培した季節の野菜を調理して食べたのも楽しい思い出です。

    ■より親近感を深めるぬいぐるみ

     卒業後1年間は滋賀大の附属小学校で講師をしていました。先輩教師の授業を直に見ることで、子どもたちが達成感を味わうノウハウを学ぶことができ、翌年は自信をもって試験に臨むことができました。 初任者研修で講師の先生から「何か特技を生かしなさい」と言われ、いろいろ考えた結果、ぬいぐるみの製作を思い立ちました。昨年はコアラの「イチタロウ」、今年はうさぎの「いちのすけ」。子どもたちもぬいぐるみがそばにいることで、より親しみを感じてくれているようです。

    ■したいことを貪欲にやりきる

     4年間の大学生生活は、一生の中で大切にしたい何かを見つける貴重な場所。私自身は、一生付き合っていける人とのつながりを得ることができました。恐れることなくぶつかって、自分のしたいことが貪欲にやりきれたらいいですね。

    彦根市立城北小学校 教諭 矢田 麻希子 さんや  だ   ま  き  こ

    彦根市出身。平成25年3月、滋賀大学教育学部学校教育教員課程生活・技術コースを卒業。

    1年間、滋賀大の附属小学校で講師を務めた後、同27年4月、彦根市立城北小学校に赴任。

    3年生の担任となる。同28年4月からは2年生を担任。幼稚園の担任の先生に憧れて、教師

    をめざす。城北小学校に赴任した際、隣の城北幼稚園に恩師がいることを知り、感動の再

    会を果たす。

    関西電力株式会社 山本 大貴 さんやま も と   ひ ろ き

    大阪府吹田市出身。平成25年3月、滋賀大学経済学部企業経営学科を卒業。同年4月、関西

    電力株式会社に入社。6月、北摂営業所の配属となる。同26年8月、本店経理室予算グルー

    プに転属となり、現在に至る。大の野球好きで、小学校から高校までは野球づけの日々を

    おくる。大学時代も野球部に所属し、同期とは今も時々連絡をとるなど、固い絆で結ばれて

    いる。

    卒 業 生 のいま

    ■ 企業経営に関心を抱き滋賀大へ

     高校を卒業するまでは野球三昧。大学受験に失敗し、浪人中に企業経営に触れる機会があって、経済学部のある大学を志すようになりました。中でも滋賀大の経済学部には情報管理学科や企業経営学科などがあり、幅広く勉強ができると思ったのです。大学でも野球部に入り、1部リーグに上がるのを悲願としてみんなで頑張りました。勉強・部活・アルバイトと、バランスのとれた学生生活をおくることができたと思います。

    ■ 辛い就活を支えた恩師の言葉

     3回生の時に東日本大震災が起こり、ゼミでも震災復興のビジネスプランを立てるなどの経験をしました。原子力の意味が問い直される中、関西電力を受験すると言うと「大丈夫なのか?」とみんなから心配されましたが、電力の供給を通じて人々の暮らしや企業活動を支えたいという自分の思いと企業の方向性にブレはなかったので、ためらいはありませんでした。 就活に関しては、これまでの人生で一番といえるほど頑張りま

    した。人前に立つのが苦手だったので、会社説明会で必ず一度は挙手して質問し、自分の話し方や顔の表情を鏡に映して見るなどいろいろ研究しながら弱点を克服しました。先輩たちが残してくれた就職試験の資料も大いに役立ちましたね。 就活中は思い悩むことも多かったので、よくゼミの先生に相談しましたが、常に前向きな言葉をかけていただき、それを心の支えにして乗り切ることができました。

    ■ 思いきりの良さを生かしてチャレンジ

     初任地の北摂営業所ではリビング営業で窓口を担当。その後本店の経理室に配属となり、1年目は全社の予算編成、現在は管理会計のしくみをつくっています。4月からの電力自由化に伴う関西電力では前例のない立ち上げの仕事ですが、先輩方からアドバイスをいただき、入社4年目という思い切りの良さを生かしながら取り組んでいます。

    ■ 就活とは自ら乗り込んでいくこと

     近隣に競合大学がほとんどないせいか、滋賀大の学生は就活のスタートが遅いですね。先輩からは常 「々滋賀大で受けたい企業の一番になるぐらい頑張って、ようやくほかの大学と同レベルだ」と言われてきたので、私は早めに準備を始めました。就活とは受け身ではなく自ら乗り込んでいくことだと思うので、できるだけたくさんの企業説明会に行って話を聞き、自分に合った企業を選ぶことも大切だと思います。

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    これまでの人生で最も頑張った就職活動電力の供給に関わる仕事で暮らしや企業を支えたい

    ボランティアを通して子どもたちと心を通わせた大学時代何事にも臆せずぶつかって、貪欲にやりきる

    ■ 教師をめざして滋賀大へ

     いつも優しくてニコニコしていた幼稚園の先生が大好きで、ずっと幼稚園の先生になりたいと思っていました。「教師をめざすなら滋賀大がいいよ」という担任の勧めもあり、滋賀大へ進学。教育実習で子どもたちと触れ合う中で、小学校の教師もいいなと思うようになりました。「滋賀大はアットホームな大学」と聞いていましたが、オープンキャンパスに行き、ゼミの催しを見学した際、少人数で先生と学生さんがとても仲が良く、この大学だったら自分がやりたいことができるかも……と感じたことを覚えています。

    ■ ボランティアに明け暮れた大学時代

     大学時代には、毎年、滋賀県文化振興事業団が募集している「希望ケ丘キャンプリーダー」として、滋賀県内の小学4年生~6年生が参加する野外活動でボランティアをしていました。7泊8日のキャンプの間、グループの子どもたちと家族のように過ごしたことは忘れられません。特に、ずっと「うちに帰りたい」と泣いてばかりいた子が、最終日に「帰りたくない。わさび(講習会でのニックネーム)もみんなも家族やからずっと一緒にいたい」と大泣きして、私達のグ

    ループだけ最後まで残っていたことは、とても印象に残っています。 また、希望ケ丘での施設利用者に対する講習会では、講師として1,000人もの参加者を前に説明するという経験をしたおかげで、引っ込み思案を克服することができましたし、他大学との交流を深めるきっかけにもなりました。 また、大学でも「石山っこ」という親子活動を支えるボランティアをしていました。教育学部構内の畑で栽培した季節の野菜を調理して食べたのも楽しい思い出です。

    ■より親近感を深めるぬいぐるみ

     卒業後1年間は滋賀大の附属小学校で講師をしていました。先輩教師の授業を直に見ることで、子どもたちが達成感を味わうノウハウを学ぶことができ、翌年は自信をもって試験に臨むことができました。 初任者研修で講師の先生から「何か特技を生かしなさい」と言われ、いろいろ考えた結果、ぬいぐるみの製作を思い立ちました。昨年はコアラの「イチタロウ」、今年はうさぎの「いちのすけ」。子どもたちもぬいぐるみがそばにいることで、より親しみを感じてくれているようです。

    ■したいことを貪欲にやりきる

     4年間の大学生生活は、一生の中で大切にしたい何かを見つける貴重な場所。私自身は、一生付き合っていける人とのつながりを得ることができました。恐れることなくぶつかって、自分のしたいことが貪欲にやりきれたらいいですね。

    彦根市立城北小学校 教諭 矢田 麻希子 さんや  だ   ま  き  こ

    彦根市出身。平成25年3月、滋賀大学教育学部学校教育教員課程生活・技術コースを卒業。

    1年間、滋賀大の附属小学校で講師を務めた後、同27年4月、彦根市立城北小学校に赴任。

    3年生の担任となる。同28年4月からは2年生を担任。幼稚園の担任の先生に憧れて、教師

    をめざす。城北小学校に赴任した際、隣の城北幼稚園に恩師がいることを知り、感動の再

    会を果たす。

    関西電力株式会社 山本 大貴 さんやま も と   ひ ろ き

    大阪府吹田市出身。平成25年3月、滋賀大学経済学部企業経営学科を卒業。同年4月、関西

    電力株式会社に入社。6月、北摂営業所の配属となる。同26年8月、本店経理室予算グルー

    プに転属となり、現在に至る。大の野球好きで、小学校から高校までは野球づけの日々を

    おくる。大学時代も野球部に所属し、同期とは今も時々連絡をとるなど、固い絆で結ばれて

    いる。

    卒 業 生 のいま

    ■ 企業経営に関心を抱き滋賀大へ

     高校を卒業するまでは野球三昧。大学受験に失敗し、浪人中に企業経営に触れる機会があって、経済学部のある大学を志すようになりました。中でも滋賀大の経済学部には情報管理学科や企業経営学科などがあり、幅広く勉強ができると思ったのです。大学でも野球部に入り、1部リーグに上がるのを悲願としてみんなで頑張りました。勉強・部活・アルバイトと、バランスのとれた学生生活をおくることができたと思います。

    ■ 辛い就活を支えた恩師の言葉

     3回生の時に東日本大震災が起こり、ゼミでも震災復興のビジネスプランを立てるなどの経験をしました。原子力の意味が問い直される中、関西電力を受験すると言うと「大丈夫なのか?」とみんなから心配されましたが、電力の供給を通じて人々の暮らしや企業活動を支えたいという自分の思いと企業の方向性にブレはなかったので、ためらいはありませんでした。 就活に関しては、これまでの人生で一番といえるほど頑張りま

    した。人前に立つのが苦手だったので、会社説明会で必ず一度は挙手して質問し、自分の話し方や顔の表情を鏡に映して見るなどいろいろ研究しながら弱点を克服しました。先輩たちが残してくれた就職試験の資料も大いに役立ちましたね。 就活中は思い悩むことも多かったので、よくゼミの先生に相談しましたが、常に前向きな言葉をかけていただき、それを心の支えにして乗り切ることができました。

    ■ 思いきりの良さを生かしてチャレンジ

     初任地の北摂営業所ではリビング営業で窓口を担当。その後本店の経理室に配属となり、1年目は全社の予算編成、現在は管理会計のしくみをつくっています。4月からの電力自由化に伴う関西電力では前例のない立ち上げの仕事ですが、先輩方からアドバイスをいただき、入社4年目という思い切りの良さを生かしながら取り組んでいます。

    ■ 就活とは自ら乗り込んでいくこと

     近隣に競合大学がほとんどないせいか、滋賀大の学生は就活のスタートが遅いですね。先輩からは常 「々滋賀大で受けたい企業の一番になるぐらい頑張って、ようやくほかの大学と同レベルだ」と言われてきたので、私は早めに準備を始めました。就活とは受け身ではなく自ら乗り込んでいくことだと思うので、できるだけたくさんの企業説明会に行って話を聞き、自分に合った企業を選ぶことも大切だと思います。

  • 学生・教職員と共に、協同・協力を持って行う「新入生応援活動」をすすめています!

    滋賀大学大津地区 生活協同組合滋賀大学彦根地区 生活協同組合

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    学生支援 大学生活協同組合(生協) S u p p o r t f o r S t u d e n t s

    生活協同組合の学生支援活動

     大学生活協同組合(生協)は、滋賀大学の学生・院生・教職員が、よりよい環境で学び、研究し、働くことができるように設立された相互扶助の団体です。そのため大学構成員の方々に生協組合員となっていただき、生協食堂や購買部の利用をお願いしています。そんな中でも、今回は、生協の「学生支援」の取り組みを紹介します。

     オープンキャンパスでは、「滋賀大学に入学したい!」そんな受験生がたくさん増えるような相談活動を、生協学生委員会のみなさんとすすめています。 受験時は生協食堂を「保護者控室」として開放し、下宿先情報のご案内をはじめ、合格が決まった後の住まい斡旋活動を行っています。学生スタッフと共に、キャンパスの生活や、町の様子を紹介しながら、希望物件を一緒に探し、新入生の新生活がスムーズにすすめられるように活動しています。 新入生に対しては、これから授業でも良く使うパソコンに慣れ親しんでもらう為にパソコンセットアップ講習会も実施しています。

      

     大津地区生協(教育学部)では、「学内教員採用模擬試験」の対応を、彦根地区生協(経済学部)では、「学内公務員講座」を行って

    います。公務員講座では1回生で教養科目を、2回生で専門科目をと、計画的に学習をすすめていけるようになっています。 また、学生の就職活動に向けて「就活メイクアップ講座&スーツ着こなし講座」を両キャンパスで開催しており、毎年たくさんの就活生が参加してくださいます。 生協組合員は、教科書をはじめ、書籍全般が10%OFFで購入できます。組合員の皆さんの自己成長を育む組織として金銭的支援を行うことにより、読書推進もすすめていきたいと考えています。

      

     学生証一体型電子マネーは、大津・彦根の両キャンパスで利用できます。キャッシュレスで買い物ができる「便利さ」だけでなく、ポイント還元の「お得さ」、紛失した場合でも履歴が残る「安心さ」、ICカードの買い物・食事履歴が確認できるWEBサービス(マイページ)による「保護者の安心」など、様々な利便性や安心が提供できます。

     

     万が一のための学生同士のたすけあい制度である、「学生総合共済」の加入呼びかけをすすめるとともに、栄養士による食生活相談や、健康フェア、自転車無料点検などの予防活動などの取り組みをすすめています。

    受験時保護者控室での下宿先情報のご案内

    メイクアップ講座&スーツ着こなし講座

    自転車無料点検などの予防活動学生証一体型電子マネー

    オープンキャンパスでの取り組み

    栄養士による食生活相談や、健康フェア

    パソコンセットアップ講習会

    キャリア形成と自己成長を育む取り組みを大学各部署と協力しながらすすめています。

    安心・便利に、電子マネー利用をすすめています。

    学生の健康と安全のためのサービスと活動を行っています。

    お問い合わせ 本学には、大津地区(教育学部・教育学研究科)と彦根地区(経済学部・経済学研究科)のキャンパスごとに生協があります。 大津地区生活協同組合(077-537-0024) 彦根地区生活協同組合(0749-24-3256)

    学生・教職員と共に、協同・協力を持って行う「新入生応援活動」をすすめています!

    滋賀大学大津地区 生活協同組合滋賀大学彦根地区 生活協同組合

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    学生支援 大学生活協同組合(生協) S u p p o r t f o r S t u d e n t s

    生活協同組合の学生支援活動

     大学生活協同組合(生協)は、滋賀大学の学生・院生・教職員が、よりよい環境で学び、研究し、働くことができるように設立された相互扶助の団体です。そのため大学構成員の方々に生協組合員となっていただき、生協食堂や購買部の利用をお願いしています。そんな中でも、今回は、生協の「学生支援」の取り組みを紹介します。

     オープンキャンパスでは、「滋賀大学に入学したい!」そんな受験生がたくさん増えるような相談活動を、生協学生委員会のみなさんとすすめています。 受験時は生協食堂を「保護者控室」として開放し、下宿先情報のご案内をはじめ、合格が決まった後の住まい斡旋活動を行っています。学生スタッフと共に、キャンパスの生活や、町の様子を紹介しながら、希望物件を一緒に探し、新入生の新生活がスムーズにすすめられるように活動しています。 新入生に対しては、これから授業でも良く使うパソコンに慣れ親しんでもらう為にパソコンセットアップ講習会も実施しています。

      

     大津地区生協(教育学部)では、「学内教員採用模擬試験」の対応を、彦根地区生協(経済学部)では、「学内公務員講座」を行って

    います。公務員講座では1回生で教養科目を、2回生で専門科目をと、計画的に学習をすすめていけるようになっています。 また、学生の就職活動に向けて「就活メイクアップ講座&スーツ着こなし講座」を両キャンパスで開催しており、毎年たくさんの就活生が参加してくださいます。 生協組合員は、教科書をはじめ、書籍全般が10%OFFで購入できます。組合員の皆さんの自己成長を育む組織として金銭的支援を行うことにより、読書推進もすすめていきたいと考えています。

      

     学生証一体型電子マネーは、大津・彦根の両キャンパスで利用できます。キャッシュレスで買い物ができる「便利さ」だけでなく、ポイント還元の「お得さ」、紛失した場合でも履歴が残る「安心さ」、ICカードの買い物・食事履歴が確認できるWEBサービス(マイページ)による「保護者の安心」など、様々な利便性や安心が提供できます。

     

     万が一のための学生同士のたすけあい制度である、「学生総合共済」の加入呼びかけをすすめるとともに、栄養士による食生活相談や、健康フェア、自転車無料点検などの予防活動などの取り組みをすすめています。

    受験時保護者控室での下宿先情報のご案内

    メイクアップ講座&スーツ着こなし講座

    自転車無料点検などの予防活動学生証一体型電子マネー

    オープンキャンパスでの取り組み

    栄養士による食生活相談や、健康フェア

    パソコンセットアップ講習会

    キャリア形成と自己成長を育む取り組みを大学各部署と協力しながらすすめています。

    安心・便利に、電子マネー利用をすすめています。

    学生の健康と安全のためのサービスと活動を行っています。

    お問い合わせ 本学には、大津地区(教育学部・教育学研究科)と彦根地区(経済学部・経済学研究科)のキャンパスごとに生協があります。 大津地区生活協同組合(077-537-0024) 彦根地区生活協同組合(0749-24-3256)

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    「未来への食育」に向けた活動在 生 の い ま学

     私たち、環境教育課程の森研究室は、「滋賀大生の食育の推進」を目的に学生自主企画プロジェクトに参加しました。現代の日本において、加工食品やファストフードが広く浸透し、特に大学生においては外食が増え、食に対する意識の低下を強く感じます。しかし、次の子育て世代である大学生、とりわけ、本学教育学部においては将来子どもたちを教育する学生が多数を占めています。そこで学生たちに野菜の収穫体験、また自ら収穫した野菜を味わうことで食に対する意識の向上を図るために活動を進めてまいりました。

     その日の朝に収穫した新鮮なトマトとキュウリを食堂に提供し、サラダバーの近くでポスターの掲示、農場のPR活動を行いました。この活動によ�